観光活性化フォーラム

低速電動車両で巡る文化と自然、HISが熱海で新たな移動型観光を展開

  • 2026年1月12日

 HISは早春期の観光需要喚起と回遊性向上を目的に、熱海で環境配慮型の低速電動車両「グリーンスローモビリティ」を活用した新たな観光プログラムを試験的に実施する。文化・自然資源を移動体験と組み合わせ、国内外に向けて熱海の新たな魅力を訴求する取り組みだ。

 同社は、観光庁の地域観光魅力向上事業の一環として、熱海観光局と連携し、グリーンスローモビリティを活用した観光プログラムを実証する。2024年に熱海市と締結したインバウンド観光推進協定の取り組みを具体化するもので、急峻な坂道が多い地形特性を生かし、移動そのものを楽しむ体験価値の創出を狙う。

 実証では、一般来訪者向けに梅園周辺で桜と梅を同時期に楽しめる無料のガイド付きルートを設定するほか、インバウンド旅行者向けには予約制の有料ツアーを造成する。文化財や美術館、神社仏閣などを低速電動車両で巡ることで、駅前や海岸線に偏りがちな動線を内陸部へと広げ、滞在時間の延長と消費拡大を図る考えだ。

 インバウンド向け商品では、熱海梅園や起雲閣、MOA美術館、来宮神社周辺を巡る複数のコースを設定し、入場料やガイドを組み込んだ商品設計とした。冬から早春にかけて「日本一早い梅と桜の競演」という希少性を前面に打ち出し、国内外市場に対し早春の熱海ブランドを再提示する。

 HISは今回の実証結果を踏まえ、梅のシーズンに限らない通年型ツアーの商品化を視野に入れる。環境配慮と回遊性向上を両立する持続可能な観光コンテンツとして定着させ、地域全体の観光消費の分散と拡大につなげる方針だ。