キャンペーン好調の英国、地方分散やAI活用で見出した方向性とは
日本市場のポテンシャルと誘客の方向性
政府が掲げた「2030年5000万人」の目標の中で、日本市場についても高い予測が掲げられている。2025年の旅行者数は24.2万人(前年比7.1%増)、消費額で2.75億ポンド(11.3%増)を見込んでいるが、2030年にはこの倍近い43.6万人と5.64億ポンドの想定だ。イェーツ氏は「目標は大胆であるべき」としつつ、これらの数値は政府が設定した目標に寄せて数字を作っているわけではなく、観光当局として独立して実現可能と考えられる予測を出しているという。
日本市場を新たに統括することになったガウガー氏も、為替などの課題は認めつつ「大きな可能性も多くある」と断言。前提としてブリティッシュ・エアウェイズ(BA)が今年3月から羽田/ヒースロー線を1日2便に増便したことがVBにとっても市場への自信に繋がっているが、それ以外にも若年層にポテンシャルを見出しているほか消費額の多い「ハイイールドトラベラー」の開拓にも意欲を示している。
若年層については、コロナ後に国内旅行に重心が移った人が多くまた韓国などアジア圏に需要が集まりがちとの分析のもと、デジタルネイティブである点など若年層の特性を捉えながら競争力の向上をめざす。また、ハイイールドトラベラーについては、歴史や遺産、文化、伝統、美しい風景を備えるラグジュアリーデスティネーションとしての認知度の高さを高付加価値の体験とともに打ち出して誘客につなげる。
一方、課題である円安に対しては、多くのギャラリーや博物館が無料であったり金をかけなくても楽しめるなど費用対効果の高い旅であることをストーリーテリングを通して伝えていく。またロンドン以外に滞在することも費用抑制につながることからその点でも地方への誘客に力を入れていく。
そしてもうひとつ、ガウガー氏は「競合国に比べて予算で劣っていること」も課題と指摘。そのうえで「だからこそもっと工夫が必要で、メディアやインフルエンサー、旅行業界と連携してクリエイティブに取り組む必要がある。民間とのパートナーシップが鍵だ」と言明した。SGB終了後には日本を訪れてセールスコールも実施している。
旅行会社についてはイェーツ氏も、「我々は日本市場の拡大に強い意欲を持ち、さらにそのために日本の旅行業界との信頼関係が不可欠だと理解している」とコメント。「成長は英国のためだけでなく日本の旅行業界にとっても利益になる。ぜひ一緒に英国を売っていきましょう」と呼びかけた。

