LH、新客室「アレグリス」導入機が日本初就航 羽田/ミュンヘン線で運航開始
CCOのハイコ・ライツ氏
ルフトハンザ ドイツ航空(LH)は10月27日、最新仕様の客室「アレグリス」を搭載したA350-900型機を羽田空港に初就航させた。同日、都内で記者会見を開催し、チーフカスタマーオフィサー(CCO)のハイコ・ライツ氏と日本・韓国支社長のローレンス・ライアン氏が登壇した。
ライツ氏は冒頭、「ルフトハンザは創業以来、人と文化、そして大陸をつなぐ存在であり続けてきた。日本との絆は60年以上にわたり、最も重要な市場の一つだ」と述べ、日本市場での長年の関係を強調した。さらに、「アレグリス導入は、当社史上最大規模のプレミアム投資であり、お客様一人ひとりのニーズに応える個別性と快適性を追求したもの」と語った。
新客室「アレグリス」は、LHの長距離路線向け新コンセプトとして開発されたもので、ファーストクラス、ビジネスクラス、プレミアムエコノミー、エコノミーの全クラスで仕様を刷新した。A350-900型機では、天井までの高い壁を備えた個室タイプのファーストクラススイートを2室設け、温度調整機能付き座席や大型テーブル、施錠可能なドアを備えるなど、「静けさと洗練の美学」をテーマに設計されている。ライツ氏は「日本の"おもてなし"と"粋"の精神に学び、細部まで心地よさを追求した」と説明した。
また、ビジネスクラスには5種類の座席タイプを用意し、利用者が好みや目的に応じて選択できる点が特徴だという。ライツ氏は「座席ヒーターと冷却機能を備えており、これはラグジュアリーカーのように個人の快適温度に合わせられる」と語り、「お客様からの反応は予想以上に良く、ビジネスクラス利用者の90%以上が満足と回答している」と述べた。
日本・韓国支社長ローレンス・ライアン氏
一方、ローレンス・ライアン氏は日本市場の現状について、「法人需要は順調に回復しているが、レジャー需要は依然として課題がある。日欧間の市場は2019年比で約68%にとどまっており、多くが観光需要の減少による」と説明。「主因は為替やウクライナ情勢による運航時間の延長などだが、法人顧客のロイヤルティは高く、新製品の導入で関係をさらに強化できる」と述べた。
また、ライアン氏は「アレグリスは単なる座席の刷新ではなく、機内全体の体験価値を高めるプロジェクトだ。エコノミークラスでも明るく清潔なデザインを採用し、全乗客が快適に過ごせる空間を目指した」と語った。
LHでは今後、ミュンヘン発着のA350-900型機に続き、フランクフルト路線のB747-8型機への改修(レトロフィット)も順次実施予定としている。ライツ氏は「今回の導入を通じて、日本のお客様に最高水準のプレミアム体験を提供できることを誇りに思う」と締めくくった。

