星野リゾート、宿泊の「不便」変える新予約システムを自社開発、一部サービス開始-キャンセル料を最大30%に変更

星野リゾートは10月23日から、新たな宿泊予約システム「FleBOL(フレボル、Flexible Booking On Line)」の一部機能の導入を開始する。「界」「LUCY」ブランドの全施設で、予約後から宿泊人数、客室、宿泊プラン、日程を変更できるようにするもの。2027年中の全施設への導入を目標に順次導入を進める。システムは自社開発したもので、将来的には宿泊時の食事やアクティビティ、最寄り駅から施設までの移動手段などを、顧客が自由に組み合わせて手配できるシステム化をめざす。
第一弾の機能は、予約済みの顧客からの問い合わせの約4割が「人数」「部屋タイプ」「宿泊プラン」「日程」の変更の希望だったことを踏まえたもの。変更の期限はチェックイン日の午前9時まで。このうち宿泊日の変更は宿泊日から90日以内で3回まで可能で、変更の際には事務手数料1000円が必要。このほか、宿泊日数や部屋数を減らす場合は規定のキャンセル料が必要になる場合がある。

10月22日に開催したオンラインプレス発表会で、代表の星野佳路氏は「長年、仮予約からチェックアウトまでのシステムを統一し、お客様の利便性を向上できないかを考えてきた」と振り返り、構想16年、投資金額18億円を費やしたことを説明。納期の問題や「エンジニアと発注側が双方向でざっくばらんなコミュニケーションができないと良いものができない」との考えから自社での開発に踏み切ったという。
星野氏は例として、温泉旅館は1泊2食付きのパッケージプランが基本で、3連泊すると3日とも旅館で食事をしなければならないことを指摘。連泊の際に1日ごとに夕食の有無等のアレンジができない一因として「予約システムの硬直」を挙げた。そのうえで「自由に行程を組めれば、長く滞在する人が増えるのでは」と、新予約システム導入による連泊の増加に期待を示した。
現在、星野リゾートの予約の7割は自社サイトからの直販。今回のサービス強化で自社顧客の利便性の向上により、リピート率の上昇を狙う考えだ。
加えて、「予約システムの利便性を高めるためにはデータの持ち方から変えていかなければならない」との考えから、自社の基幹システムの変更も実施。新たなPMS(ホテル管理システム)として「HOP4(Hoshino Resorts Operation Platform 4)」を開発したことを明らかにした。HOP4で社内にある情報を一元的に管理することで、AI対策も見込む。
星野氏は「AIが旅行を提案する場合、無限の記憶力と先入観ゼロの状態で、把握しているファクトに基づき顧客に提案するため、ブランドや歴史は考慮されない」と説明。「ブランドのために出す情報ではAIは説得できない。どういう顧客がここに泊まり、このくらい満足した、リピートしたという情報をAIに公開していくのが一つの策」としたうえで、HOP4で情報を一括管理する体制づくりについて「今踏み切ることがAI時代に対応するうえで重要」と強調した。
なお、フレボルはHOP4に基づいているため、今後はまずはHOP4を全施設に展開したうえでフレボルを導入する。