7~9月期の訪日外国人消費額2.1兆円に、買物支出は減少も免税制度の意義強調

  • 2025年10月16日

 観光庁の村田茂樹長官は15日の定例会見で、2025年7~9月期の訪日外国人旅行消費額(一次速報)が2兆1310億円となり、前年同期比11.1%増で同期過去最高を更新したと発表した。中国、台湾、米国、韓国の4市場で全体の6割超を占めている。

 1人当たりの旅行支出は21万9428円で前年同期とほぼ横ばい、観光・レジャー目的に限ると20万5935円(4.5%減)だった。宿泊費、飲食費、交通費、娯楽等サービス費はいずれも増加した一方、買物代は前年同期比で11%減となった。村田長官は「宿泊や体験型の支出が伸びる一方、買物代はやや減少している」と述べ、「いわゆる"モノ消費"から"コト消費"への移行が一定程度見られるが、どちらも観光の重要な柱であり、両方の促進を図っていく」との考えを示した。

 同庁によると、訪日外国人による買物支出は2024年に約2.4兆円の市場規模があり、引き続き大きな割合を占めている。村田長官は外国人旅行者向け免税制度について「買物消費を下支えする重要な制度」と強調し、2026年11月に導入予定のリファンド方式(免税還付型)の円滑な実施に向けて準備を進める方針を示した。また、地方部での免税店拡充を通じて地域消費の拡大を目指す考えも明らかにした。

 観光庁では、訪日外国人消費の波及効果を消費額の約2倍と試算しており、7~9月期の経済効果は約4兆円に達すると見込む。村田長官は「地方部でのインバウンド消費の一層の拡大に取り組む」と述べ、今後も体験型観光資源の磨き上げと地方消費の拡大に注力する考えを示した。