【FAMレポート】建国250周年を前に注目集めるワシントンDC、歴史・文化・音楽が交差する都市の魅力
ユニークなブラックブロードウェイツアーや国際スパイ博物館
ここまで紹介したスミソニアン博物館群やナショナル・ギャラリーなど、すべてが無料というのが驚きだ。また、スミソニアン博物館のミュージアムショップでの買い物は非課税。そして、DC内は、メトロやバスを利用すれば時間帯などによって、多少は異なるが$2.25〜6.75(週末は$2.25~2.5)とお手頃。またUberなどシェアライドもすぐに拾えて、観光エリアであれば$15以内で移動できた。
今回、有料になるがDCならではのアクティビティに参加した。1つ目は、ワシントンDCのアフリカ系アメリカ人文化の歴史を知る「U Street Walking Tour with Briana A.Thomas」というウォーキングツアー。『A列車で行こう』で有名なジャズピアニストのデューク・エリントンは、DCの出身であり、「Uストリート」と呼ばれる NWの9番通りから18番通りの間の地域には、今もライブハウスやレストラン、ショップが立ち並ぶ。
かつては「ブラックブロードウェイ」と呼ばれ、デューク・エリントン、エラ・フィッツジェラルド、ルイ・アームストロングなどが出演した「ハワード劇場」(1910年にオープン後に国定史跡となり2012年に再オープン)の「ハワード劇場」や1922年に建てられた「リンカーン劇場」、デューク・エリントンの記念像、アフリカ系アメリカ人南北戦争記念碑などを回る。
街角で演奏されていたアフリカンドラム、鮮やかな色の壁画の数々などアフリカ系アメリカ人文化を肌で感じるエリア。ガイドのブリアナさんはブラックブロードウェイに関する著書もあり、今も賑やかなこのエリアだが当初300あったアフリカ系アメリカ人経営の店で残っているのは3軒だけだと、その変遷についてもいろいろと解説してくれる。
もう一つ、大変面白かったのが国際的なワシントンDCならではの「国際スパイ博物館」(チケット料金は日によって違い30ドルを超えるが、30%の事前購入割引あり)。冷戦などの歴史を絡めた実際の国際的なスパイの紹介やCIAなどが解説するスパイ活動、ネクタイピンに仕掛けたカメラなどスパイグッズの数々などが展示されている。スパイ映画の『アルゴ』の実際との比較も秀逸で映画を見直したくなる。
ウォーターフロントで盛り上がる国際的ジャズフェスティバル
今回のFAMツアーの目玉は、2004年から続くという「DCジャズフェスティバル」。9月1日のレイバーデーの週末、ポトマック川沿いのフォーターフロント(The Wharf)で3日間にわたって繰り広げられるジャズの祭典である。屋内のArena Stage、桟橋に設けられた水上ステージ、プロムナードの屋外ステージなどがジャズであふれる。今年のオープニングはレイラ・ハサウェイ、またトリとしてロン・カーターが主演したほか、日本からも小曽根真が参加していた。
あちこちから聞こえてくるジャズに耳を傾けながら、ウォーターフロントをそぞろ歩くのも楽しく、川沿いに並ぶ洒落たレストランやバーでゆっくり楽しめる。ディナーに立ち寄った「ザ・グリル」は店名の通り、洗練された内装の店内で薪火の料理を味わえる。魚料理は、よい素材をシンプルにグリルして、際立つおいしさだ。カクテルは濃さやブレンドするスピリッツもきちんと尋ねるなど、接客もとても丁寧で心地よい店だった。
自分が5日間過ごした感じでは、緊急事態に州兵派遣というのはそぐわない歩きやすい街だった。フェスティバルもあり、あちこちに警察は巡回していてそれで十分だと思われた。それよりも、一つのエリアに政治と歴史、そしてこれだけの一流のアートや音楽など芸術が集結したところはワシントンDC以外にはないとあらためて感じたFAMだった。
取材・文/小野アムスデン道子
取材協力/ワシントンDC 公式日本語サイト





