アメリカ、ホテルや物価、交通事情その1-MATCH 松宮英範氏
ではホテルはというと、私が宿泊したのは「インディゴ・ロスアンゼルス・ダウンタウン」。インターコンチネンタルのIHGグループとして世界展開しているホテルで、日本では渋谷、箱根、軽井沢などでも開業している。場所もダウンタウンにあり、治安も良好で、ロビーの天井は高く、プールもあり、洒落たホテルである。部屋の広さが違うので単純比較はできないが、1名・2名で宿泊する分には渋谷のインディゴの方が値段は高く感じ、ロスの方が安い。最近、首都圏のホテルは値段がかなり上がっており、食事や衣服、エンタメの金額と比較すると、日本ではホテルは相対的に割高になっているのだと実感。ただし、最近のデマ報道、酷暑、競争過多により、この夏は首都圏もかなり値段が下がってはいるが…10月以降は、どこも予約好調につき、また値段が上がっていて、今や日本のホテルは需給バランスで激しく価格が乱高下している業態になっている。
インディゴの紹介をもう少し。宿泊特化型に近く、レストランやバーは1階に集中していて、フロント前にある無人のミニ売店では、サンドウィッチ・サラダ・フルーツなどが、セルフ精算でいつでも購入できて便利。部屋は、クイーンベッドが1台または2台という作りが基本で、アメリカでは部屋が広めということもあり、クイーン2台の部屋であれば、1ベッドをシェアにはなるが、家族4名でも宿泊可能。これが、日本のホテルだと、ツインルームは、シングルベッドかセミダブルベッドが2台となり、1部屋で2名しか泊まれない。また水回りは、バスタブはなく、シャワーブースのみで、トイレ・洗面もバスルームの中にある場合が多い。もし、ファミリー4名で来ていた場合、交代で入浴しなくてはいけないだけではなく、誰かがトイレを利用すると洗面もシャワーも使えず、完全にバスルームから閉め出されてしまうので注意が必要。トイレが個室であれば解決するのだが、このクラスだとあまりない。
当社運営の宿泊施設では、1つの部屋に4つ以上のベッドがある「ファミリースイート」というカテゴリーがほとんどで、トイレも個室を2つ以上設置していて、4名以上の利用者には非常に好評である。当社施設利用者の40%がアメリカ人で、皆、普通のホテルに不満なのである。アメニティもアメリカは貧弱。ある程度の高級ホテルでも最低限のシャンプー・コンディショナー・ボディソープと石鹸のみ。歯ブラシはもちろん、コットンも綿棒もパジャマも何もないのは、昔からではあるが。まだアメニティは我慢できるのだが、湯沸かしポットがないのが一番の苦痛である。コーヒーメーカーは必ずあるので、必要な人はこれでお湯を沸かすも、これだと最初の2~3回はコーヒーの香りが取れないので、何回も沸かさないと純粋なお湯にならないので、実に面倒なのである。
文句が多くなったが、最後にチップ事情を少々。今回、現地在住の人、数名にヒアリングしたところ、アメリカでも最近は枕銭はほとんど置かないとのこと。置く場合は、連泊で清掃に入ってもらう場合だけ。この時は、チップをおいた方が綺麗に清掃をしてくれる気がする、のだと。連泊中であっても、紛失やエコやトラブル防止などの理由で「Dont disturb」の札をかけて、清掃を断り枕銭も置かない、という人もいた。タクシーもウーバーでチップがなくなり、レストランも最近はカード精算でチップを現金で置いていく形も少なくなっている。重い荷物を運んでもらうような場合は今でも渡しているが、キャッシュレス時代でチップの習慣自体、いずれなくなりそうですね。
次回は、ホテル以外の選択肢、Airbnbの最新情報などをお伝えします。
株式会社MATCH代表。大学卒業後、大手旅行会社で26年勤務。主に富裕層向けの海外ツアーを手掛ける。50歳を機に、コロナ禍の2021年に独立起業し、ニッチなホテルのプロデュースと集客支援を行う。インバウンド向けのミニホテルや長期滞在型のコンドミニアムホテル、関東近郊のリゾート地で展開する一棟貸切タイプのラグジュアリーヴィラなど現在12施設の運営や集客に携わる。その他、集客にお困りの施設の宿泊コンサルタントや、神奈川県で第3種の旅行業登録、中小機構のアドバイザー、各種講演や大学の講師なども務める。大阪出身、横浜市在住。