ANA、国際線好調で過去最高の四半期売上を記録 旅行事業ではハワイ方面が堅調

ANAホールディングスは29日、2026年3月期第1四半期決算を発表した。売上高は過去最高を記録し、営業利益も前年同期比21%増となった。欧州新規路線の好調や訪日需要の取り込みが寄与した。
2026年3月期第1四半期(4月〜6月)の連結売上高は前年同期比6.2%増の5487億円となり、四半期として過去最高を更新した。営業利益は367億円で前年同期比64億円増加し、2023年度に次ぐ高水準となった。一方で、経常利益と純利益はわずかに減少した。
国際線旅客収入は前年同期比8.8%増の2062億円で過去最高を記録した。羽田発着のミラノ・ストックホルム・イスタンブールの3路線が新規就航し、搭乗率は約8割と好調だった。シンガポール航空とのジョイントベンチャー開始や国際線ウェブサイトの刷新も利便性向上に貢献した。
国内線もレジャー需要の早期取り込み策が奏功し、旅客数は前年同期比4.7%増の1024万人、旅客収入は6.8%増の1619億円となった。ただし、ビジネス需要の回復が鈍く、収益構造に課題を残した。同社は国土交通省による「国内航空のあり方に関する有識者会議」の動向に注視しつつ課題解決に取り組むとしている。
国際貨物については、中国発米国向け貨物が減退する中、アジア発貨物の取り込みにより輸送重量は前年を上回った。8月1日付で日本貨物航空がグループに加わる予定で、輸送体制の強化が見込まれる。
旅行事業では、ハワイ方面を中心に海外旅行の取扱高が増加した一方、国内旅行の販売が伸び悩んだ。ただし、コスト抑制が奏功し赤字幅は縮小した。商社事業はインバウンド関連の土産品卸売や食品事業が好調で、増収増益となった。
通期見通しは、売上高2兆3700億円、営業利益1850億円と、4月発表時から変更はない。増収減益の想定を維持しつつ、成長軌道の確保に注力する方針を示している。