「旅のハードルを下げる」-ENVISION 2025で語られたTrip.comのグローバルと日本市場の戦略
Trip.com日本法人代表・高田智之氏が語る、日本市場の展望と課題
「旅行のあらゆるハードルを下げること」——カンファレンスに合わせて現地で行われたインタビューで、Trip.comインターナショナルジャパン代表の高田智之氏が再三強調した。
同氏によると、日本市場において特に注力しているのが「アウトバウンドの回復」。福岡空港や関西空港での広告展開や、韓国・台湾など人気デスティネーションでの現地法人との共同キャンペーンやメガセールなどを通じて、まずは若年層を中心にブランド認知を高めている。加えて、コンサートやK-POPイベントとの連携も進め、「旅行のきっかけ」を創出する工夫も重ねているという。
「昨年比で日本語サイトの予約数は約60%増加しています」と高田氏。OTAとしては異例ともいえる、エンタメやコンテンツとの接点拡大を図る一方、プロダクトのローカライゼーションや生成AIを活用したAIトラベルアシスタント「TripGenie(トリップジーニー)」などによって、旅程作成・情報翻訳・グループ旅行の共有までを一貫して支援している。
アウトバウンドの回復が後れを取っている状況について、同氏は「SNSやサブスクに可処分時間を奪われており、若年層に旅行の価値を再提示していく必要がある」と語っており、そのために同社がコントロールできることとして、セールなどによる価格面での訴求や生成AIを活用した一気通貫のサポートで海外旅行の"ハードル"を下げていく考えだ。
また、日本国内の宿泊施設との連携においても、同社は「売って終わり」ではない関係構築を志向。24時間対応の世界1万3000人規模に及ぶ自社運営カスタマーサポートや、提携販売の品質管理徹底などを通じて、現場負担を軽減し、宿泊施設からの信頼を高めている。