KNT-CT、子会社と代表取締役の異動を発表 2025年3月期は7.5%増収

  • 2025年5月13日

 KNT-CTホールディングスは2025年3月期の決算を発表し、海外旅行需要の回復などを背景に増収を確保した。一方で、公務受託事業の減少や人的・システム投資の増加により営業利益は減少となった。併せて同社は、子会社再編や資本政策、人事異動も公表した。

 2025年3月期連結決算は、売上高が前年比7.5%増の2745億円。海外旅行を中心に取り扱いが増加、ヨーロッパ方面の添乗員同行ツアーやクルーズ商品、訪日旅行向けの多言語サイトによる需要取り込みなどが奏功した。一方、営業利益は60億4000万円(前年比16.9%減)、経常利益は67億76百万円(同15.1%減)。当期純利益は、投資有価証券売却益等を計上し76億8000万円で同1.9%の微増となった。

 こうした中、同社は子会社の異動と財務体制の見直しも発表。連結子会社クラブツーリズムの完全子会社であるクラブツーリズム・ライフケアサービス(LCS)が行う生活周辺事業をクラブツーリズム本体に吸収分割した上で、LCSの全株式を介護事業を手がける揚工舎に譲渡する。これによりLCSは連結子会社から除外される。

 さらに、財務健全化策として資本準備金79億5710万円のうち、79億3210万円を減額し、繰越損失の解消に充当する剰余金処分を実施する。これにより純資産額に変動は生じないが、機動的な資本政策の遂行が可能となる。今回の施策は6月開催の定時株主総会での承認を経て、7月末に効力を発する予定だ。

 人事面では、6月17日開催の株主総会後、代表取締役会長の米田昭正氏が取締役会長となり、代表取締役専務の三宅貞行氏が代表取締役副社長に、専務取締役の中之坊健介氏が代表取締役専務に就任する。新体制は事業構造改革の一層の推進を目的としたもの。

 KNT-CTは本年創立70周年を迎え、さまざまな新規事業にも取り組んでいる。ロサンゼルスには日本食の魅力発信などを行う現地法人を4月に設立し、訪日意欲の喚起と海外での認知度向上を狙う。さらに高付加価値商品の強化やユニバーサルツーリズムの拡充など、持続可能な成長を目指す動きが加速している。