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宿泊向けITソリューションで急成長、triplaが狙う「アジア市場制覇」と日本市場への逆輸入

 宿泊施設向けの予約エンジン「tripla Book」を主力商品に、22年11月の東証グロース市場への上場以降、台湾、インドネシア、タイなど主に東南アジアでサービスを展開する海外企業を計3社買収し、「アジア最大の宿泊施設向けホスピタリティソリューションカンパニーの早期実現」を目標に積極的な動きを見せているtripla。しかし、同社代表取締役CEOの高橋和久氏は、上場以降の自社の取り組みついて「60点」との自己採点をつけた。買収によりグループ全体でのサービス導入施設数は倍増するなど、順調とも思える動き出しに対し60点と評価したワケや、欧米含めたその他地域への進出など、同社が描く海外での事業展開の構想について伺った。

tripla
直近では、今年1月にシンガポールEndurance社を買収(左から)tripla代表取締役CTO鳥生格氏、高橋和久氏、Endurance社CEO Hartono Liman氏、General Manager Chatuporn Ruttalaungsak氏
-「60点」とした理由について教えてください。

高橋和久氏(以下敬称略) M&Aによる展開は及第点。減点分の一番の要因は、昨年2億5,500万円との営業利益目標に対し1億7,700万円で着地したこと。加えて、新サービス「tripla Analytics」のローンチも遅れている。

 経営層も厚くする必要があると考えていて、現在役員は4名体制だが、全員が男性のため多角的な視点を持てるよう女性の登用や、海外展開する上では外国籍の役員を入れるなど、特にダイバーシティの部分は意識したい。

 役員は社員やM&Aを行った会社の代表などが候補となるが、この経営層のテコ入れは早期に実施したいと考えている。

-海外進出を行う目的をお聞かせください。

高橋 宿泊施設数という点で国内マーケットは広がっているものの、やはり成長には限りがある。グループ全体の成長率目標を年率50%とするなかで、国内は年率20-30%成長と見ており、目標達成のため積極的に海外へ展開する必要がある。

 売上の海外比率は今年10%、来年20%、5年以内には50%にしたいと考えていて、まず展開を行うのが「APAC」。海外展開を行う上で、しばらくは現地との定期的なミーティングなども必要となるが、その場合時差の少ないAPACから進出し、今後経営層が厚くなった段階で欧米への参入も検討していきたい。

 また、通貨の種類の多さや決済手段などの点から、参入障壁はAPACの方が少し高い。欧米は通貨の種類は少ない分、競合が多い。まずは、APACでしっかりと力を付けていき、ある程度マーケットが取れればAPACのプロファイルは大きな強みになる。これには世界中が関心を寄せるとともに、日本の宿泊施設への集客にも活用できると考えている。

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