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星野リゾート、OMO・界を積極展開、北海道・弟子屈町再生へ-アウト需要に注目も

  • 2023年10月16日

弟子屈(てしかが)の観光地再生へ、個人客ターゲット

6つのKPIを提示

 加えて星野氏はオーバーツーリズムにより顧客満足度が低下することで、観光地のイメージやブランド力まで低下し、長期的に集客が減少することに懸念を表明。そのうえで入込人数によ評価だけでなく、温泉地ランキングや稼働率、生活者の関与度などなど6つのKPIを掲げて観光地の再生に取り組んでいることを説明した。そのうえで具体例として山口県長門市で展開している温泉街再生計画を振り返るとともに、北海道川上郡弟子屈(てしかが)町で取り組む温泉街再生計画について現状を説明した。

 弟子屈町については、川湯温泉で観光地の再生に取り組んでおり、マスタープランに基づき1区画に「界 テシカガ」を開業する。星野氏は「川にお湯が流れており、カルデラなど温泉の熱を感じられる地形も大きな魅力。素材として素晴らしく周りを取り囲む希少な自然環境があり、観光ポテンシャルが高い」と川湯温泉の魅力をアピール。長門市と同じく、個人客をターゲットに据えつつも「ある程度インバウンドもとれるように」していく考えを話した。

販路は引き続き旅行会社も活用、大型宿泊施設を中心に

星野氏

 星野リゾートでは現在公式サイトでの直販に加え旅行会社やOTA経由の販売も実施しているところ。星野氏は集客について「界のように部屋数が100室以下の施設は供給量が限られており、供給以上に需要を作り出す情報発信力が今の時点ではある」と自信を表明。一方で「トマムのように(2施設合わせて)700室以上ある場合は年間を通して売るためには、それ以上の需要を作りこむのは大変なので、販売チャンネルを広げざるを得ない」と説明した。

 そのうえで今後は直販を「力強く維持する」とともに、閑散期を中心に旅行会社経由の販売を継続していく方針をあらためて表明。「自分たちが需要を作り出すのに弱い時期に協力いただける、旅行会社の大切さはよく理解している」と話し、「需要を直ルートで取れるからこそ、(閑散期という)弱点をいろいろな旅行会社と一緒に補っていく取り組みが明確化していく。IT技術の進化で変わっていく部分はあるが、年間における需要の標準化のため、基本的な考えは変えない」と話した。

 また、同氏は円安や現地のインフレなどで日本人の海外旅行需要の戻りが遅れていることについても指摘。「海外旅行が国内旅行にシフトする、この需要をいかに取り込むかが日本の観光にとって重要」と強調し、その施策として「マイクロツーリズムを継続して集客していく仕組みを作ることが、インバウンドと同じくらい大事な市場になる」と語った。