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話題のChatGPTとは?旅行業でも使える可能性は?-RT Collection 柴田真人氏

 このAIは、最近よく話題に上がる2022年11月末にOpenAIがリリースした「ChatGPT」というツールです。チャットのように会話をしながら質問をすることができ、その質問に対してAIが回答をしてくれるという対話型の言語モデルです。使い方はとても簡単で、今回の例の場合は次のように指示を出しました。

指示内容(1)
「【節約術】お得な予約方法で海外旅行に行ってみる。旅行会社とOTAを徹底比較」というタイトルで記事を書く。5つの大見出しとそれぞれに3つの小見出しを作ってください。

指示内容(2)
その記事の導入文を200文字程度で書いてください。

指示内容(3)
その記事の結論を300文字程度で書いてください。

 たったの3つの指示で先程のような文章や見出しを作ってくれました。現在、メディアやブログの記事作成ではライターに依頼をしなくてもAIで記事作成ができるんじゃないかというチャレンジが少しずつ始まっています。また、将来的にはWebライターの仕事はなくなり、AIの記事作成に変わっていくのではとまで言われています。

 観光の分野でもAIはすでに使われ始めていますよね。

 例えば、ホテルの「よくある質問」です。以前は固定のWebページに質問と回答が予め書かれていて、自分の質問したい内容があるかどうかを探していましたが、現在はAIのチャットボックスで質問ができるようになったホテルが増えてきました。施設や空港での顔認証ゲートなどもAIを活用している事例です。旅行業でもAIによる旅行プランの提案にチャレンジしている企業もあります。

 AIによる旅行の提案はとても難易度が高そうなイメージがありますが、先程のChatGPTのツールを使って試しに提案をしてもらいました。

 「東京の朝食のおいしいホテルはどこですか?」と質問をしてみたところ、東京の5スターのホテル名と特徴を書いて数軒提案してきました。(質問の内容によっては、実在しないホテル名を答えた場合もあります)

 一方で「東京発着で岐阜の高山に2泊3日で行く場合のおすすめの観光モデルプランを教えてください」と質問してみたところ、高山以外のエリアの観光地を含んで回答をしてきました。(全然違う都道府県の観光地でした)

 単純な場所を答えさせるような提案であれば前者のようにできそうですが、観光モデルプランのような複雑な内容はまだまだ回答の精度が低く、人を惹きつけるような提案はできないようです。

 AIに文章で回答をされても、またそれが音声データになって聞かされたとしても、人が実際に見て感じた感情や想いを伝えることまではできないので、トラベルコンサルタントと顧客の対話をAIと顧客の対話に単純に置き換えることは簡単にはいかないでしょう。まだまだ時間がかかりそうです。

 今後、高齢化が進み、生産年齢人口が減少していきますが、2030年には現在の生産年齢人口よりも約600万~650万人減少すると言われていて、サービス業では約400万人が足りなくなると予測されています。人手不足になるとAIでも外国人労働者でも力を借りたくなりますが、今後旅行業でも人材不足を補うAIを活用したサービスが増えてくると予想しています。まずは自分でAIが活用されているサービスを利用してみましょう。今回のようにAIが記事作成できるなら、業務効率を考え直すこともできますし、外注費のコストを減らせるかもしれないなど新しい気付きに繋がっていくかもしれません。

柴田 真人 / Masato SHIBATA
大学生時代にオーストラリアのタスマニア島で過ごし、旅行会社に就職。15年間の旅行会社勤務時代には主に東南アジア方面の仕入れや企画に従事。また、フィリピンでの5年7ヵ月間の海外赴任を通して、アウトソーシング事業の立ち上げからインバウンド事業における現地支店の立ち上げ及び日本マーケット初のチャーター便運航のプロジェクトなどを経験。その後、2018年に合同会社 RT Collectionを設立。