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JTB山北社長、2023年の最大のテーマは海外旅行の復活、機運醸成に注力-新春インタビュー

  • 2023年1月6日

地域開発や街づくりへの投資も積極的に
デジタル化とグローバル化の流れに対応

 中期経営計画「『新』交流創造ビジョン」の実現に向けて、3つの柱である「ツーリズム」「エリアソリューション」「ビジネスソリューション」事業領域を推進するJTB。2023年度には、35年ぶりにリブランディングを実施。新たなブランディングのもと、対外的にもツーリズム以外のビジネスの認知度を深めることで、事業変革を加速させていく考えだ。旅行市場が本格的な復活に向かう中、2022年に創立110周年を迎えたJTBが目指すところは。2022年の振り返りとともに、同社代表取締役 社長執行役員の山北栄二郎氏に語ってもらった。(聞き手:弊社代表取締役社長兼トラベルビジョン発行人 岡田直樹)

JTB代表取締役 社長執行役員の山北栄二郎氏
-創立110周年を迎えた2022年の総括をお願いします。

山北栄二郎氏(以下敬称略) 2022年は盛り上がるだろうと期待してスタートしましたが、やはり第7波の影響は大きく、想定よりも伸び悩みました。しかし、第8波と言われている中では、国内需要はあまり影響を受けていません。企業のイベントなども確実に開催されています。JTBは、交流は絶対止めないと宣言してきましたが、2022年は全体として、交流が再開した年と位置付けられると思います。

 また、コロナ禍で原点に立ち戻って、旅そのものの意味を考え、旅の目的に寄り添う考えを持ち、事業体制をしっかり作り直してきました。その中で、お客様の実感価値の実現に向けて、デジタル化と高付加価値化に取り組んできた1年でもありました。

 加えて、今年はサステナビリティへの関心が高まった年と感じています。お客様の意識が変わってきただけでなく、業界もこれが未来につながる持続可能なツーリズムだと認識してきたと思います。脱炭素の課題だけではなく、持続的に観光地が発展していくためにはどのようにすればいいかなどの議論が進みました。例えば、フードロス、アメニティの使用などに対する意識が高まっており、現地でできる限りサステナブルに過ごしたいという考え方が広まっていると感じています。



 個人向けのマーケットや修学旅行では、地産地消などの商品の注目が集まっています。法人では、イベントでのサステナビリティへの意識が高まっています。JTBも「CO2ゼロMICE」に取り組んでおり、ビジネストラベルではJTBビジネストラベルソリューションズが「ESG-BTM」プログラムを提供しています。

 JTBグループは2022年3月に、サステナブルツーリズムのグローバル基準を管理するグローバル・サステナブル・ツーリズム協議会(Global Sustainable Tourism Council: GSTC)に加盟。また、2022年10月には「JTBサステナビリテリポート2022」も公開しました。

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