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【労務のいろは】10月1日より施行改正! 短時間労働者の社会保険の適用拡大

【5】社会保険に加入するメリット

 社会保険に加入することでは保険料を支払うことになりますが、下記のような加入のメリットもあります。

 

(1)厚生年金保険のメリット:『老齢・障害・死亡』の3つの保障が充実
厚生年金保険に加入することで、将来、『老齢厚生年金』を受給することができるようになるほか、病気や怪我で障害を負ってしまった場合には『障害厚生年金』、死亡した場合には残された遺族は『遺族厚生年金』を受給することができます。また、障害基礎年金は障害等級1・2級に該当したときに支給対象となりますが、障害厚生年金は3級やそれより軽い障害の場合でも年金または一時金が支給されます。

厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイトより

(2)医療保険のメリット:『傷病手当金・出産手当金』等の給付が受けられる(一定要件あり)
健康保険に加入することで、病気または怪我により働くことができなくなってしまった場合には『傷病手当金』、被保険者が出産のために会社を休み、報酬が受けられない場合には『出産手当金』が所得保障として受給することができます。傷病手当金は、療養を開始した日から起算して連続した3日間を経過した日から最長1年6ヶ月間、給与の3分の2相当額が支給されます。出産手当金は、産前42日・産後56日までの間、給与の3分の2相当額が支給されます。

厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイトより

(3)扶養基準(130万円)を意識せずに就労制限なく働ける
これまでは、被扶養配偶者の年収が130万円を超えると、保険料負担(国民年金・国民健康保険)が新たに発生するものの、保障内容に変化はありませんでした。これからは、年収106万円(月額8.8万円)を超える等の各種要件を満たした場合に、厚生年金保険(厚年)・健康保険(健保)に加入し保険料負担(厚年・健保)(労使折半)が新たに発生することになりますが、その分、保障も充実します。また、給与が増えることから『130万円の壁』を意識せずに働くことができます。

厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイトより

適用拡大のサポート

 厚生労働省から、社会保険適用拡大について動画やチラシなどで分かりやすく解説をしている『社会保険適用拡大特設サイト』が公開されています。こちらのサイトでは、会社が負担する社会保険料の試算や、短時間労働者が社会保険に加入したことによる保険料の負担額・将来支給される年金額の目安などが分かります。その他にも、企業が受けられる補助金や助成金、専門家からのサポートについてのご案内などが掲載されていますので、ご活用ください。

岡部大介
特定社会保険労務士。医療労務コンサルタント。岡部社会保険労務士事務所代表/合同会社Deyコンサルティング代表社員。
東京都八王子市出身。大学卒業後、建設会社、サービス業を経験し、2006年社会保険労務士登録。2011年より岡部社会保険労務士事務所設立。手続き業務、給与計算、規程作成、助成金申請、労務相談を行いながらクライアントに寄り添うサービスを目指す。