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HISが開始した新たな「スマホ接客」とは-ビデオ通話で予約獲得へ

チャットやビデオ通話を活用、予約まで一気通貫
40代から60代に好評、顧客単価上昇も

コロナ禍でオンライン化が加速

(左から)ジールスの清水氏、HISの星野氏  2社が協業を始めたのは今年の2月から。ジールス代表取締役CEOの清水正大氏は本誌の取材に対し、当初はHISにチャットボットのみを提案していたが、夏ごろから2社でサービス拡大を決めた旨を説明。「COVID-19の拡大で社会全体の在り方が変わり、これまでより店舗に行きづらくなる中、お客様の悩みや相談に応えられる範囲を広げていかなければ」という思いを2社で共有し、協業を深化させたという。

 HISではこれまでもLINEやテレビ電話での旅行商品の予約促進に取り組んでいたが、HIS JAPAN個人旅行営業本部販売事業部次長の星野友和氏は「いきなりテレビ電話が入り口だと、恥ずかしさもあり敷居が高すぎたのでは」と振り返る。今回の取組は、チャットボットを切り口にビデオ接客まで徐々に進む仕組みであることから、「オンライン販売の良さを最大限引き出せる。我々も提案の準備ができる」と自信をみせた。

 一方、清水氏は「1つのツールではなく、一連のプロセスを提案した」点を強調。個々の会社がそれぞれツールを提案するのではなく、ジールスが1社で総合的にツールをプロセス化して提供することが、接客DXの特徴であるとし、「チャットボットで取得したデータをビデオ接客に活用できる。2つの掛け算で得られるデータが接客体験をさらに良くする」と説明した。

 なお、ジールスでは接客DXについて、HISにサービスの初期費用や月額の利用料を請求するのではなく、予約が入ると請求が発生する完全成果報酬モデルで提供している。清水氏は「我々にリスクはあるが、クライアントとともに成功していくかたちでDXに挑戦している」と語った。接客DXは通信業界や自動車業界など、「おもてなし」を重視する他業界の大手企業からも注目されているといい、当面はHISとの取り組みに注力するが、将来は他業界とのコラボレーションも検討する考えだ。