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【若手ホテリエに会いに行くvol.5】香林居 山野莉央さん

  • 2022年4月25日

コミュニケーションを通じて「映え」の向こう側へ
目指すのはホテリエの価値向上

 都心の老舗大型ホテルからスタートアップ企業が運営する地方のブティックホテルへ転身した山野莉央さん。現在は金沢のホテル「香林居」でホスピタリティーマネージャーとして人材育成に励んでいる。ホテルとホテリエの仕事を愛し、「ホテリエの可能性を広げたい」という山野さんに、これまでのキャリアや将来の目標を聞いた。

山野さん

-まずはご自身の紹介をお願いいたします。

山野莉央さん(以下敬称略) 熊本生まれ、東京育ちで、社会人7年目です。新卒でホテルニューオータニに入社しましたが、2年ほど前にL&Gグローバルビジネスに転職しました。京都のホテルでの勤務を経て、現在は金沢にあるホテル「香林居」のホスピタリティーマネージャーとして働いています。

 私が担っているミッションは、香林居の接客のレベルアップです。細かいところでは挨拶の仕方、お辞儀の角度、正しい敬語の使い方をはじめ、領収書の作り方などまで研修マニュアルを作成し、新入社員やアルバイトスタッフに伝えています。

 また、直近のKPIは、ゲストからのレビュー向上です。現在利用しているOTAは「一休」のみですが、レビューの総数を増やすことはもちろん、今年10月の開業1周年までに、現在は4.2のレビューの平均値を4.5まで引き上げたいと思っています。

-転職のきっかけは何ですか。

山野 ホテルニューオータニでは基礎から全て教えていただきました。一方、現場の力を培うに連れて、「その上」の部分はまだまだ知らないことばかりということに気付きました。予算や売上、上層部が何を元にどのような判断をしているのかをもっと知りたいけれど、ここでそれに関わることができるのは運が良くて15年後。ホテルやホテリエの仕事は本当に好きなので、だからこそもっとチャレンジしてみたいと思い、転職を決意しました。

 転職後はスタートアップ企業ならではのスピード感と裁量権の大きさに驚きつつも、「自分がアクションを起こさなければ何も動き出さない」という環境に程よいプレッシャーを感じながら毎日を過ごしています。

-前職の経験で今の仕事に活きていると感じている点はありますか。

山野 香林居の客室は18部屋ですが、ホテルニューオータニは1479室あります。当時は日々大勢のお客様をお迎えするなかで、お客様の求めていることを考える回数は必然的に増えました。計算ドリルのように、たくさんの問題を解いて回答を探すというプロセスを重ねたことが今活きています。香林居でもゲストからいただく質問やご指摘に対して、今までの経験値をベースに回答できていることを実感しています。

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