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地域に分け入るJAL社員たち~福井県若狭町編~

  • 2022年2月28日

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新旧の魅力を発信して誘客拡大を目指す


-今後の需要回復も見据えて、コロナ後はどのようなターゲットにどのような商品・素材を紹介していきたいですか。

 ワーケーションを普及させたいと思っています。コロナにより世の中の働き方は大きく変わり、働く場所は職場だけではなくなりました。コロナが収束しても全員が揃って職場に出勤することは少なくなるかもしれません。

 若狭町には廃校を再利用した「みさきち」という施設があります。仕事が出来る設備はもちろん、宿泊設備も備え、豊かな自然を活かした各種体験も可能です。仕事に疲れたらアクティビティで気分転換をしてみる。これまでにない新しい働き方のひとつになるかもしれません。この施設を企業のサテライトオフィスとしても提案していきたいと考えています。ワーケーション体験が二拠点居住や移住・定住のきっかけになればいいなと思います。

廃校を再利用した体験施設「みさきち」

-観光事業者や他の自治体と連携して取り組みたいことがあれば教えてください。

 福井県と若狭町を含めた嶺南6市町で「ナショナルサイクルルート」認定に向け取り組んでいます。認定されれば大きな誘客効果が期待できます。それを見据えた観光素材の磨き上げや体験コンテンツの開発、サイクリングルート沿線の飲食店整備等を進め、ファミリー層をはじめとする自転車初心者でも楽しめるような観光地になればいいなと思っていますが、先進地も長い時間をかけてやっと今日があるそうです。先進地から学び、サイクリングの町を発信していきたいと思っています。

 また、北陸新幹線開業を見据えた実証実験バスを2021年11月に運行しました。アンケートを実施し、運行本数やダイヤ、JRをはじめとする他交通機関との乗継などの課題も見えてきました。公共交通機関を使った観光でお客さまが不便を感じないよう、関係各社との連携を強化していきたいと思います。

実証実験バス

観光未来創造課長 泉原功さん

私は大学卒業後、大阪で約10年間の民間企業での勤務を経て生まれ故郷にUターンし、若狭町役場(当時は三方町)に入庁しました。以来、大半を観光関連の部署で勤務し、町の観光協会への出向も3年間経験しました。

入庁当時の誘客ターゲットは京阪神が中心でしたが、鉄道や道路交通網の整備完成に伴い中京や首都圏へと範囲を拡大。近年では訪日外国人の増加を受け、台湾や香港への営業活動を行ってきました。ですが、コロナ禍の影響により2年間誘客のための宣伝活動はほとんどできておらず、アフターコロナに向けたスタートダッシュの準備を進めているところです。

-観光資源やお薦めの食、特産品などをご紹介ください。

 若狭町は、若狭湾国定公園の中央部、福井県の南西部にあり、ラムサール条約湿地に登録された「三方五湖」、全国名水百選「瓜割の滝」、近畿一美しいとされる一級河川「北川」など水資源が豊富なまちです。

 この地の歴史は1万年以上前まで遡り、鳥浜貝塚に代表される縄文遺跡や古墳が数多く点在しています。国道303号は、かつて海産物を畿内朝廷まで運ぶ「若狭街道」として、御食国(みけつくに)若狭の重要な役割を果たしていました。街道沿いに栄えた宿場町「熊川宿」は、国の重要伝統的建築物保存地区に選定され、2015年には日本遺産に認定されています。

 若狭町と周辺地域は日本海側最大の梅の産地であり、良質な「福井梅」が全国へ出荷されています。また熊川地区は「日本三大葛」の1つ、「熊川葛」の産地で、葛もちや葛まんじゅうなどが作られています。

 日本海に面した常神半島には、新鮮な海の幸を味わえる旅館、民宿が約80軒あり、年間を通して多くの観光客が訪れます。

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