お助け道場を開設しました!

【弁護士に聞く】濃厚接触者と認められた場合、休業手当は?

ポイントは「どこで感染したか」
休業手当を支払わない場合は各種公的支援金のチェックを

「コロナ感染者の濃厚接触者と認められた場合、2週間の自宅待機が求められているが、その間仕事を休ませざるを得ない場合、雇い主は休業手当を支払うべきか。」

  新型コロナ感染第5波の嵐が吹きすさんでいるとされる。そんな中、ようやく、第5波では感染力が強くなる一方、致死率は低下しているとして、ロックダウンといった強い行動制限は不要で、むしろ医療逼迫の原因は医師会や開業医の怠惰であると非難する冷静な論調も増えてきているように感じる。私も昔からコロナ共生派ではあるものの、新型コロナは感染者の潜伏期間が2週間と長く、その間他に感染させる危険から、濃厚接触者は自主隔離させざるを得ないことは、今後も認めざるを得ない(PCR検査を受けさせて陰性を確認できれば職場復帰という手もあるが、検査の偽陰性の可能性を考えれば、自主隔離の方が勝るだろう)。

どこで感染したのか?

 休業させた場合の休業手当の支給の要否については、労働基準法第26条が、「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない」と定めている。この規定に関して労基法を所管する厚生労働省の解釈によれば、以下のとおり場合分けできる(こうした所管官庁による法解釈を行政解釈と呼ぶが、法令の最終解釈権者は最高裁判所なので、裁判所で行政解釈を争うことはできるが、新規事業でも起こす場合を除き、実務的にはまず行政解釈を知り、従えるなら従うのが定石である)。

 まず、「使用者の責に帰すべき事由」による休業では休業手当の支払義務が生じ、「不可抗力」による休業と判断される場合には休業手当の支払いは必要ない。そのうえで、

1 会社内での感染による濃厚接触者の場合
 事業の外部から発生した事故ではないため不可抗力にはあたらず、休業手当の支払義務あり。

2 会社外(家庭等)での感染による濃厚接触者の場合
(1)自宅勤務が可能な場合(事務職等)
自宅勤務でも就労可能にもかかわらず休業扱いとした場合は、使用者として行うべき最善の努力を尽くしていないという理由で「使用者の責に帰すべき事由による休業」に該当し、休業手当の支払義務が発生する場合がある。
(2)自宅勤務が困難な場合(現場就労、ex.飲食業界や運送業界等)
就労させることが困難であるから休業手当の支払義務なし。

 この場合分けだと、濃厚接触者となった感染可能性のあった場所が社内なのか社外なのかを探求する必要があるが、専門家のクラスター調査でも困難になってきているので、本人に自覚がない場合は殆どわからないのが実情だろう。その場合は、不可効力によることは会社側に立証責任があるので、就業形態にもよるが、上記1に当たり休業手当の支給義務ありと解するしかない場合が多いだろう。

 なお、平均賃金の6割以上という平均賃金は、通常の月給制の場合であれば、「直前3ヶ月間の賃金(通勤手当等の諸手当を含み、ボーナスは含まない)の合計÷直前3ヶ月間の暦日数」で計算されます。

次ページ >>> 休業手当が支払われなかった場合には

関連ニュース