地元に貢献できる体験プログラムを造成-「城西館」宿泊営業部部長 小笠原宜嗣氏

回復を見せる宿泊売上
旅行会社とも積極的な情報交流を

-需要回復の時期はいつ頃になると予測していますか。またポストコロナの施策について教えてください。

小笠原 来年春くらいから少しずつ国内需要が戻ることを期待しています。インバウンドについては、19年並みに戻るにはあと1、2年はかかるでしょう。インバウンドは対象国の感染状況にも左右されるので特に見通しづらい面があります。来年は台湾の市場が動く気配がありましたが、ここへきて消えました。  国内需要についてはGoToトラベルをきっかけに、それまで少なかった若い宿泊客が増えました。彼らが再び高知を訪れてくれるようになると期待しています。

-宿泊予約はOTA経由が大部分とのことですが、従来型の旅行会社には今後、何を望みますか。

小笠原 従来型の旅行会社は大手を中心に店舗を閉め人員削減を進めています。店頭にお客様が戻っても対応できない面があると思います。来店するお客様は安全に楽しめる旅を提供してくれる旅行会社の安心感を求めて来るわけで、それに応える存在であってほしいです。旅行会社に対する客室在庫のアロットは見直しが必要になると思いますが、ゼロにするつもりはありません。Webですべてが完結するわけではありませんし、OTAにはできない部分もあります。

 私自身、長年にわたり宿泊営業を担当し旅行会社と信頼関係を築いてきたつもりです。そのパイプを切ってしまうのは簡単ですが、そういうものではありません。旅行会社が持つ情報は、キャリア情報を含めてやはり早く貴重なものです。情報の交流は続けなければなりません。ところが、これまで一緒に仕事をしてきた旅行会社の担当者が、コロナ禍で辞めていくケースも多く非常に残念です。

-最後にトラベルビジョンの読者である観光産業従事者に向けてメッセージをお願いします。

小笠原 高知県は、来客を家族でもてなすおもてなし精神が受け継がれており、それが旅館やホテルのおもてなしにもつながっています。高知県の食も、ぜひ知っていただきたい魅力的要素です。カツオのタタキが有名ですが、地元出身の私がお勧めするのは刺身です。カツオの臭みを嫌うお客様も、高知でカツオの刺身を食べると臭みのなさに驚きます。特に近海ものは舌がしびれるほど美味しいことからビリガツオと呼ばれるほどです。もちろん土佐はお酒も最高です。コロナ禍で今は控えていますが、お酒の場では返杯が当たり前で、私も営業先からミスター・ヘンパイと呼ばれています。

 高知でも最上級の位置づけを頂いている城西館で仕事を続け、その看板に育てられてきました。次は自分が城西館の力になるべき段階です。城西館には小笠原がいるから安心だと信頼していただき、各セクションのスタッフと共に、期待に応える受け入れを実現していかなくてはと考えています。観光産業の皆様にも是非とも高知に来ていただき、コロナの心配が無い時期が来たらミスター・ヘンパイとも酒を酌み交わしていただけたらと思います。

-本日はありがとうございました。