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東京の中心でまちづくりと一体となった都心型エリアMICE誘致を-DMO東京丸の内 事務局長 藤井宏章氏

  • 2021年6月24日

施設と公共空間を組み合せた演出
体験コンテンツなどで他地域とも連携

-MICE誘致を進めるうえでの大丸有エリアの強みをお聞かせください。
行幸通りでは「丸の内de打ち水」などもおこなわれ大丸有エリアの魅力を発信している

藤井 現在、大丸有エリアでは約120ヘクタールの土地に100棟ほどのビルが集積しています。来年は丸ビル竣工20周年を迎えます。しかし、ビルを新しく建て替えれば、街が活性化するわけではありません。街を元気にしていくためには、ビルだけでなく、ビルとビルの間の公共的なストリートも含めて、空間や施設をいかに活用していくかが大切になります。

 まちづくり構想のなかで、このエリアの役割を考えたとき、国内外から人が集まり、いろいろな交流を促すことで、新しいビジネスを生み出していく場にすることが必要だと考えました。エリア内の企業同士、あるいは域外の企業と接点を持ち、いろいろなコミュニケーションを生む場所として大丸有の価値は高いと思います。

 このエリアには、東京国際フォーラムのほか、再開発にともなって各ビルにも多彩なカンファレンスホールも造られました。また、大型ホテルも多くあります。この資産を活用していくために、MICEの誘致に力を入れています。

 また、2015年に丸の内仲通りや東京駅前の行幸通りが国家戦略特区の指定を受けたことで、公的な空間でのイベントも企画しやすくなりました。さらに、同年7月には、丸の内仲通りの日中時間帯の車両交通規制が実現しました。こうした施策もMICE誘致の後押しになっています。

 海外MICEでは、会議後のユニークな体験も求められているため、空間の運営を担うリガーレが中心となって、コンテンツの造成などをこのエリアの店舗などと連携して実施しているところです。このエリアのさまざまな施設と協業し、公共空間も活用しながら、まちづくりと一体となった取り組みを進めている点が、MICE誘致の強みになっていると思います。

-さまざまな会員が「DMO東京丸の内」に参加されています。

藤井 現在、正会員28団体、賛助会員3団体が参加しています。正会員は、三菱地所をはじめ、東京国際フォーラム、パレスホテル東京、帝国ホテル東京、ザ・ペニンシュラ東京などのホテルも参加。神田神社は、エリア外ですが、大手町・丸の内がその氏子地域になっていることから、会員となって頂いています。また、体験コンテンツのプロバイダーやユニークベニューの施設も参加しています。

-これまでのMICE誘致や開催支援の実績を教えて下さい。
FIN/SUM2019の様子

藤井 DMO発足以前では、2014年にIBA(国際法曹協会)の国際会議が東京国際フォーラムで開催されたとき、実験的に、道路を閉鎖し、そこにイスとテーブルを出し、エリア内の店舗の協力でワインなどを提供しました。また、ジャズの演奏会を開くなど街を楽しんでもらう空間を演出しました。

 2019年9月には、フィンテックの国際会議「FIN/SUM2019」が開催されました。丸ビルホール・カンファレンスをメイン会場とし、分科会やネットワーキング、パーティーはエリア内の会員施設などを利用。最終日のアフターパーティーは皇居外苑に位置する和田倉噴水公園で実施しました。また、会期終了翌日には海外招聘者を対象に千葉・南房総への日帰りエクスカーションツアーを提供し、日本の文化体験も楽しんで頂きました。このほか、参加者にエリア内の店舗で利用できるクーポンマップも配布し、買い物も楽しんで頂きました。