サイトコントローラーの機能強化、宿泊施設と旅行会社をサポート-シーナッツ代表取締役社長の山田英樹氏

多様化する客室販売を高機能なサイトコントローラーで効率化
旅行再開に向けサービス強化も

-コロナによる業績への影響を教えてください

山田インタビューはオンラインで実施(写真提供:シーナッツ) 業績は昨年よりも悪化している。我々の収益はTL-リンカーンの利用料と予約件数に応じた従量型の課金だ。予約総数が減ったことで、2020年の従量課金の売上は前年から大きく減少した。

 宿泊施設の事業環境の変化により、TL-リンカーンの利用宿泊施設数は減少していくと思っていたが、業務の見直しでシステムを見直されたのか、20年の契約社数は19年よりも増えた。このため、全体収益はなんとか持ちこたえている。コロナ禍で苦しい状況においても販売管理の仕組みは必要と感じてもらっているようで、非常にありがたいことだ。

 我々のようなシステム会社は、システムを導入して使い続けていただくことがビジネスの基本なので、経費削減で解約されない限りは不況に強い。コロナ前はインバウンドが増えたことで宿泊施設も増え、旅行業のような取扱額に連動する手数料商売の売上は大きく伸びていたはずだが、我々はそこまで伸びていなかった。ビジネスモデルを変えられないか真剣に考えたこともあったが、今のような状況では、大きく経年で変化することがあまりない今のモデルで良かったと感じている。

 結果、国には補助金などの支援をお願いすることはなく、従業員も減らさず以前と同じ給料を払えている。勤務時間も特に減らしていないが、在宅業務には切り替えた。出社しているスタッフ数は全体の20%程度だ。営業については、コロナ前は出張して宿泊施設のお客様を訪問していたが、リモート営業に切り替えた。それによりお客様との接する回数が約3倍に増えたので、コロナ前よりもしっかりフォローできているのではと思っている。まだまだ観光業に対してできることがあると考えているので、厳しい環境ではあるが、しっかりとサポートさせていただきたい。

-今後の旅行需要はどのようになるとお考えですか

山田 21年は19年並みまでは戻らないと思っている。国内需要は戻ってくると思うが、インバウンドが戻りきらず、その分がマイナスに働くだろう。22年には19年と同等のレベルまで戻ってきてほしいという願望はあるが、先行きは不透明だ。

 国のGOTOトラベルキャンペーンは観光業界に直接的に効果のある施策だと思う。キャンペーンのタイミングで旅行需要が明らかに増えた。中止を発表したときは客室のキャンセルが一気に入り、弊社の仕組みがパンクしそうになったほどだ。キャンペーンのあるなしで需要が全く異なる。宿泊施設はしっかり感染対策をしているので、それを前提に観光産業にプラスになるような規模や形で再開してもらいたい。

-最後に、観光業界の皆様にメッセージをお願いします

山田 旅行は生きていく上で必須なものではないが、みんながやりたいこととしてある。それは、みんなが少しずつ幸せになるために必要不可欠なものだからだと思う。そんな「幸せ産業」であり、経済を支えられる産業で働けることはとても幸せなことだ。

 GOTOトラベルキャンペーンの実施は、国が「日本にとって観光は交流人口を増やして経済を発展させることのできる重要な産業である」と改めて認定したということ。「今は国が頑張って支援するので、人の動きが普通に戻ったとき、みんなでもっと観光を広げていこう」というメッセージだと捉えている。その時までみんなで観光業界を支えて、日本の幸せのために貢献していきたい。

-ありがとうございました