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ハワイ、需要回復まで長期戦で挑むリカバリー策とは-ハワイ州観光局日本支局長ミツエ・ヴァーレイ氏

21年の目標は50万人、鍵は帰国時の14日間自主隔離
レスポンシブルツーリズムと並行で「マラマハワイ」も訴求

—21年の数値目標を教えて下さい。また需要回復の時期をどのように見ていますか。

ヴァーレイ 昨年末にステークホルダーには、21年の第1四半期が19年比10%、第2が同25%、第3が同60%、第4が同60%で通年で同40%の約63万人という予測を示しました。しかし、現状では影響が長期化する見込みのため、第1四半期はかなり厳しくなると思います。そのため通年で50万人弱と軌道修正しました。

 鍵となるのは日本帰国時の14日間自主隔離だと思います。HTJが20年10月30日〜11月30日に実施したコロナ禍における日本人の旅行意識調査によると、「14日間自主隔離解除後にハワイ旅行をしたい」との回答は全体の93.7%にものぼりました。これが解除されないと、FITやリピーターは戻らないでしょう。

 また、日本の感染症危険情報がレベル3からレベル2に下がり、旅行会社が一斉に管理型パッケージを再開しなければ、需要の本格的な回復は難しいと思います。

 まずはFITリピーターが戻り、その後に安心安全の管理型パッケージ。業界内では、秋以降でないと、海外旅行市場に大きな動きはないという見方があるなかで、HTJとしても長期戦を覚悟しているところです。

—日本とハワイとの「トラベルコリドー」の可能性はどのように見ていますか。

ヴァーレイ 昨年5月から日本ハワイ友好議員連盟の方々とコミュニケーションを続けており、その成果として、新型コロウイルス陰性証明で到着後の自己隔離を免除するハワイ州事前検査プログラムについて、10月の米国本土に続いて11月から日本でも導入されました。産学官一体となって、陰性証明書フォーマットの統一化や指定医療機関の選定が可能になりました。まず、第3波が来る前に、観光再開の第一歩を踏み出せたのは大きいことだと思います。

 「トラベルコリドー」は基本的に国と国の合意で、国と州とではなかなか難しいですが、パイロットケースとしてハワイで実施する話を進めていたところで、第3波が来てしまいました。日本での感染状況が落ち着かない限りは、「トラベルコリドー」は動かないという認識です。

—HTJが、今年旅行業界に対して注力していく施策について教えて下さい。

ハワイ州 新型コロナウイルス情報サイト。統計データやハワイ旅行に必要な手続きの情報が掲載されている ヴァーレイ 今年進めていく施策は3つあります。1つ目は、衛生面も含めてニューノーマルのハワイの現状をしっかり伝えていくこと。現在、詳しい新型コロナウイルス専用サイトを作り、情報をタイムリーに提供しています。

 2つ目は、長期的な戦略として、2018年から打ち出しているレスポンシブルツーリズムの推進。新型コロナウイルスによってさらにその重要性が強まっていると感じています。日本向けには、SDGsや教育旅行をキーワードに、旅行会社と一緒にプロダクト開発を進めていきたい。具体的には、自然、環境、歴史、文化などで現地コミュニティと連動できる深い体験商品を管理型パッケージやMICEなどで提案していく考えです。

 3つ目は、リカバリーに向けて、日本旅行業協会(JATA)も含め、さまざまなステークホルダーとの連携をサポートしていくこと。現在、その準備を進めています。秋の回復に向けては4月〜6月が鍵になってくると思います。その準備のひとつとして、サーフィンサイト、レスポンシブルツーリズムサイト、ホクレアサイトの3つの特設サイトを新たに立ち上げ、プラットフォームをさらに拡充していきます。