「業務渡航に未来はあるか!?4社合同座談会」開催‼
「業務渡航に未来はあるか!?4社合同座談会」開催‼

2021年の旅行トレンドは「5S」?-「旅行者の代理業」にチャンス

 前編集長が「世界の観光産業の今」をテーマに寄稿するこのコラムも6回目となりました。年末の挨拶と言えば「良いお年を」が定番ですが、旅行業界にとって来年がはっきりと良い年になるかというとはなはだ疑問で、ワクチンなどによって「マシな年」にはなるでしょうけれども、来年の今ごろに「色々あったけど乗り越えられたね、良かったね」と安堵しているとはあまり期待できません。というか、旅行会社だけですでに万単位の職が失われたかこれから削減されることが決まっているわけで、期待は低くしておくのが精神衛生上良いのではないかと思います。

 さて、来年の旅行業界を予測する上で、まず直近で実現の可能性が高いのは、すでに発表されている香港とシンガポール、オーストラリアとニュージーランドなど、2国間でのいわゆるトラベルバブルです。これも感染者が急増しなければ、ですが、各国政府が発表していますので第1四半期の実現確率は高いでしょう。うまくいけば日本もその波に乗るはずです。

 一方、ワクチンについては、もちろん接種は進みはするものの、安心して各国間で往来が再開できるまでには相当な時間がかかります。そのうえ、例えば中国やロシア製のワクチンをどこまで信頼するかの問題もありますし、また、当コラムで何度か触れている「健康パスポート」あるいは「陰性証明アプリ」の問題も解決されなくてはなりません。

 健康パスポートについては、世界経済フォーラムなどが推進する「コモンパス」が一歩先を行き、日本の経済産業省も対応する方針を決めたようですが、国際航空運送協会(IATA)の「トラベルパス」も第1四半期に稼働予定とのことで、諸々の調整や準備を考えると「戦力」として計算に入れられるのは早くて第2四半期でしょう。どれでも良いから一本化するなり企画を統一するなりしてさっさと普及に取り組んでくれよと思うところですが、業界誌の関係者各位にはその辺りの思惑なども是非取材していただきたいものです。

 なお、トラベルビジョンでは今週、2021年の日本人出国者数を2019年比78%減とする予測を示していましたが、確かに現実的にはこの程度を想定するしかないのではないかと思います。むしろワクチンの「効き目」次第ではより悪い結果もあり得るでしょう。ただし、需要集中でカンクンのホテル稼働率の制限が80%に緩和された例もあるように、一度信号が青になればその時の回復の曲線は相当な急角度であることも期待して良いと思われます。

2021年の旅行トレンド「5S」とは?

 また別の観点で、旅行者の意識がどう変わるかという点については色々な考え方があり、例えばhospitalitynetというサイトでは「Safe, Slower, Soulful, Secluded, Sustainable」の5Sが鍵になると予測しています。このうちSafeはもちろん安全で、Secludedは意訳すれば「密回避」でしょうか。金持ちはプライベートジェットや貸し切りを志向し、非富裕層でも多くの人が集まる主要観光地から周辺への分散化が進むだろうとの予測です。

 そして、2番目のSlowerは従来のスロートラベルの意味だけでなく、旅行を実現するのに困難がある環境だから、人々はせっかくであればと一生に一度と願っていたような大旅行に乗り出すとの意味で、3番目のSoulfulではより精神的な充実、成長、満足が望まれるようになるとしています。そして最後のSustainableは言うまでもなく持続可能性です。

 Slower、Soulful、Sustainableの3つが日本人旅行者にどの程度当てはまるかは分かりませんが、セグメントによっては確かに強く傾向が現れることは予想され、その辺りを嗅ぎ分けて適した提案ができる企業は回復が早いでしょう。

 さらに、旅行会社への期待が高まるとする意見も複数見られます。それらの趣旨を大雑把にまとめると、国やタイミングによって異なる入国制限などの最新情報にキャッチアップすること、リファンドなどのトラブルを解決すること、デスティネーションなどに関する深い知識や経験を持っていること、などが消費者の評価を得るだろうというものです。

 こうしてみると(ポストコロナの)旅行の大変な部分を代わりにしてくれる存在が望まれていると言えるでしょう。確かに私も1人の消費者としての望みはその通りで、そう考えるとこれまでは航空会社などのサプライヤーを代理する存在として「旅行代理店」と表現されて来たわけですが、実は「旅行者の代理」という発想にこそ可能性があるのではないかと思うところです。(松本)

世界の最新情報をメールで受け取る

関連ニュース