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シンガポールの現状と旅行業界の展望(前編)-世界の「今」を駐在員の視点から

  • 2020年9月7日

感染増も的確な対策で混乱なし

 海外駐在員が現地の“今“を伝えるこのコーナー。今回はトラベルビジョンを運営するエフネスのシンガポール現地法人で代表を務める私、赤井亮太が担当し、これまでとは少し趣向を変えて、シンガポールの新型コロナウィルス感染状況や政府の対応、さらに旅行業界の今後の見通しについてお伝えしたいと思います。

そもそもシンガポールってどんな国?

 コロナウィルスの状況をお伝えする前に、まずはシンガポールがどんな国か少しご紹介しましょう。

 正式名称はシンガポール共和国で、1965年8月9日に建国されて今年で55年を迎えた歴史の浅い国です。面積は720平方キロメートルと東京23区と同程度で、2019年1月時点で人口が564万人(うち永住者が399万人であることから、約170万人は短中期の就労ビザを保有する外国人と考えられる)の小国です。第二次世界大戦時には、日本の植民地下に置かれたこともありますが、日本食、日本車、日本の電化製品、日本のアニメが大好きな親日国家でもあります。

 歴史的には、シンガポール建国の父と言われるリー・クアン・ユーの指導の下、交易(元は石油の中継貿易港)で栄え、その後金融センターとして1980年から2010年にかけて急速に発展して現在に至ります。1人あたりGDPが約65,000 USドル(日本は約39,000 USドルなので、シンガポールは日本の1.6倍)となり世界でトップ10に入る世界有数の豊かな国となりました。

世界の1人あたりGDPランキング (2018)

ランクGDP
(単位米ドル)
地域
1ルクセンブルク 115,536 ヨーロッパ
2スイス 83,162 ヨーロッパ
3マカオ 81,728 アジア
4ノルウェー 81,550 ヨーロッパ
5アイルランド 78,335 ヨーロッパ
6アイスランド 74,515 ヨーロッパ
7カタール 70,379 中東
8シンガポール 64,579 アジア
9アメリカ 62,869 北米
26日本 39,304 アジア
出典: IMF - World Economic Outlook Database

 購買力も高く、国際通貨基金(IMF)の2018年の統計によると1人当たり購買力平価GDPは日本の約2.3倍となっています。

世界の1人当たり購買力平価GDP 国別ランキング (2018)

ランキング国名単位:USドル
1カタール129,638
2マカオ115,913
3ルクセンブルク106,372
4シンガポール101,387
5アイルランド79,617
12アメリカ62,869
31日本44,246
出典:IMF統計

 また、IT教育にも力を入れていることで知られ、小学生の早い段階からPCやタブレットでの授業を積極的に導入しています。そのため、コロナウィルスで休校になったときにも、すぐにシンガポール全土でOnline授業に切り替えられることができたほど、です。

 私の子供も、小学4年次からiPadを持ち、授業もiPad、宿題もiPad、プレゼンもiPadで作成して行うほどです。この間は、わからない英単語に対して、辞書を引かずSiriに話しかけて聞いていました。。。時代は変わっていますよね(笑)