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「ビジネス版LINE」はBTMを変えるか-ワークスモバイルジャパンに聞く

出張手配もチャットボットで一気通貫
「LINE WORKSトラベル」が今秋に開始

-「LINE WORKS」で出張手配のサービスを始めた理由をお聞かせください

福山氏福山 「LINE WORKS」を通じて、会社におけるさまざまな業務を行える世界を作りたい、というのが基本的なコンセプトだが、そのなかでも出張は、いくつものツールを使い分け、申請、手配、精算など多くの人とコンタクトしなければいけない。これらをすべて「LINE WORKS」からできれば、生産性が上がると考えた。

 出張に関するプロセスは会社にとってコストで、企業もそれを「見える化」しようとしている。その取り組みをサポートすることで、会社のコスト削減にも貢献できるだろう。使い慣れた「LINE」のようなチャット画面で、出張前から出張後まで一気通貫のサービスを提供すれば、企業のどの出張者も利用しやすい。

増田 チャットで旅行に関するサービスを提供しているプロバイダーは他にもあるが、それらは旅行のプロセスごとに提供するサービスで、出張者もそれぞれのサービスに対応しなければならず、管理する側も全体像を掴むのが大変だと思う。一元化して全体を俯瞰し、それぞれが適正か否かを把握することを可能にできれば、それが我々のバリューになる。

-そもそも、日本の業務渡航市場やその問題点などを、どのように見ているのでしょうか

増田 日本の企業には出張専任の管理者がなかなかいない。総務担当者がスキマ時間に出張規定に則って手配したり、精算したりしているので、その方たちの負担は大きいと思う。中小企業では出張者が自分ですべてを手配しているところもあるが、そうなると出張規定に則っているのかどうか、本人も分からず不安だし、会社もその手配が適正なのか精算段階まで分からない。

福山 企業も現在の出張手配プロセスがコストだと分かってはいるが、そこになかなかメスを入れようとはせず、何が適正なのかそうでないかが分かりにくい状況にある。また、出張経費についても、年間の予算から削っていくような、どんぶり勘定的な精算が多いのではないか。

増田 これが海外出張になると、旅行会社に丸投げすることで高額なパッケージ型出張になるケースもある。また、海外の企業なら、出張先では自力でレンタカーやUberを使って移動するのが当たり前だが、日本の企業の総務がそのような個別の手配に対応するのはかなりの手間だろう。

福山 企業のIT化における一般的な課題として、「ITバラバラ化問題」がある。つまり、さまざまなITツールを導入するが、全てがバラバラに使われていて連携していない。色々なサービスのつまみ食いでは生産性が上がらず、逆にそれがコストになってしまっている。「LINE WORKS」はそれらをつなげることで、生産性向上をサポートしている。

-チャットボットで一気通貫のサービスをめざすとしていますが、出張手続きのすべてをチャットで済ませることに対して、不安の声はありませんか

増田 “完璧”なチャットボットを作ることは無理なので、エスカレーション機能がある。チャットボットによる対応が不可能になった場合は、オペレーターが対応する。利用する企業数や、チャットボットでどこまで対応できるのかなどを見極めながら、オペレーターの数を調整していくことになるだろう。

福山 どの程度のリテラシーを持つお客様が、どの程度オペレーターを必要とするのか、しっかり測定していく必要があると思う。

増田 たとえば、急なキャンセルや当日の予定変更などは、チャットボットではまだハードルが高い。また、新幹線の予約で通路側の席を予約したい、といった細かなニーズへの対応も難しい。一方で、宿泊予約などについてはそれほど心配していない。