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ハワイ島の需要回復に全力、日本未紹介のアクティビティなど発掘も

20年は「地方」「隣島」「MICE」「持続可能」の4本柱
地方は旅行会社と、ハワイ島では移動の利便性改善めざす

言語バリアと送迎に改善の余地、啓蒙と「オールジャパン」で立て直しへ

「ハワイ島サミット」商談会の様子

 ヴァーレイ氏によると、20年のHTJの活動は「地方戦略」「隣島のブランディング」「MICE」「レスポンシブルツーリズム」が4本柱となるが、なかでもハワイ島の需要回復は重点施策。ハワイ島への日本人訪問数の目標は、19年の予想17万人に対して約35%増となる23万人に設定している。とはいえ、これまでもハワイ島のプロモーションは実施してきており、目標達成に向けてはハワイ島特有の課題解決が必要となる。

 課題のひとつとしてヴァーレイ氏が挙げるのは言語バリアで、ハワイ島で日本語対応ツアーを提供する会社は9社ほどであるのに対し、英語のみのツアー会社は100社超。なかには、日本ではほとんど紹介されていない溶岩トンネルツアーやジップラインなど、定番の火山や星空観光以外のプロダクトが多くあるという。

カウマナ・ケイブはマウナロアが噴火した際にできた溶岩洞窟。ハワイ島には日本で紹介されていないアクティビティが数多くある

 この課題についてヴァーレイ氏は、商談会に参加したハワイ島のツアー会社も24社に留まるとし、出展しなかった企業を含めて日本市場の重要性を啓蒙していく必要性を指摘。また、日本市場に興味を持ってくれる企業に対しては、日本語対応のサポートなどを提供していく考えを披露。さらに、その他のアイデアの一例として旅行会社と共同で添乗員を教育するアイデアも示した。

 一方、酒井氏が課題として挙げたのは送迎で、ハワイ島は公共交通機関がオアフ島よりも発達しておらず、例えば英語圏で人気のバーベキュークルーズは自分で港まで行かなければならない。「レンタカー付きのパッケージ商品もあるが利用するのは30%ほど」といい、打開策としては、昨年に旅行会社7社が共同運行した「イブニングシャトル」のようなものを実施していきたい考え。この点についてはヴァーレイ氏も「コナとヒロを繋ぎオールジャパンでやっていく」と意気込む。

地方こそ旅行会社と協業-リピーター比率は7割弱に

NHのA380型機。ファースト、ビジネス、プレエコ、エコノミー、カウチシートと多彩な座席を搭載し様々な客層や需要に対応する

 20年の4本柱のうち、「地方戦略」では地方のファーストタイマー獲得を目標に設定。関東ではすでにFIT化が顕著でリピーター率も多く、OTAの競争も激しいためダイナミックパッケージが伸びていくと予測するが、地方ではハワイは一生に一度行くところという考えが依然として根強く、旅行会社のパッケージ商品は「価値が高い」と評価。

 特に日本航空(JL)と全日空(NH)の競争や羽田のスロット、NHのA380の就航などは、旅行会社が地方で存在感を出すための良い話題だとして、特に地方では旅行会社と共同で積極的なプロモーションを展開していく考えを強調した。

 なお、酒井氏によると、日本市場におけるリピーター比率は10年に58.5%だったところから18年には66.8%に到達。特に夏や年末年始になると75%に達したという。パッケージとFITの比率でもFITが増加し、10年に22.47%であったところから18年には41.2%までに達しており、酒井氏は「近い将来50%になると予想している」と語った。