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「FSA」トップに聞く:早稲田大学アカデミックソリューション社長の大谷氏

教職員の海外校務出張をすべて手配
今後は他大学にもサービス提供を拡大

-校務以外の旅行でも選ばれるための工夫はありますか

大谷氏 大谷 渡航にはフライトの遅延やキャンセルなどのトラブルがつきものだが、さまざまな状況に24時間対応できる体制を構築している。また、顧客である教職員の渡航目的・内容や好みなどを把握した上で、常に最適な提案をできるようにしている。

 例えば、忙しい教職員からは「今度は○○○へ行くので宜しく」といった漠然とした依頼も多いが、限られた情報をもとに、飛行機の座席はどのクラスまでを使えるか、出張規定の範囲、好みの内容、ホテルはどこが最適かなどを提案し、さらにはビザ取得や渡航認証の要否、訪問国に応じた旅券の残存期間規定なども確認・管理し、万全の手配をする。出張する側は手間もかからず安心できる。

江口俊之氏(以下敬称略) また、例えば悪天候でフライトに大幅に遅延、機材変更、キャンセルなどがあった場合も、航空会社と振替便について交渉し、出張者に最善の誘導方法を検討できます。そのほか、大学総長や理事を始めとするVIPに関しては、VIPサービスに係る事前登録、ラウンジでの対応、貴賓室の利用有無、お好みの食事や飲み物、機内での対応といった細かな情報も航空会社の営業担当者と連携して提供します。こういった対応は、当社の旅行部門でPNRを作成できるからこそ可能になっています。

-最近のOTAの台頭をどのように見ていますか

大谷 観光のための旅行ならOTAで十分だと思うが、業務渡航となるとどうだろうか。例えばホテル選びも「安ければいい」というわけにはいかず、ロケーションやホテルの特徴などが重要な選択の要素となる。それらをすべて自分で調べて手配するのはかなり面倒なことなので、「ちょっと安い」というだけではOTAを使うメリットはないと思う。

江口 過去にOTAと連携したシステムを導入して、教職員が自分で予約できるようにしたことがありますが、利用件数はそれほど伸びませんでした。やはり面倒さと、すべて自分の判断で選択しなくてはならない責任の重さがネックになったようです。

-出張手配の手数料はどのように設定していますか

大谷 航空券の場合は、エコノミーやビジネスといったクラス別に手数料額を定めている。実際には、手数料だけで旅行部門としての利益を確保することは難しい部分もあるが、当社には早稲田大学に貢献する役割もあるので、必ずしも単体での利益ばかりを追求しているわけではない。ただし当社が早稲田大学に法人契約レートを利用することにより、どれだけの経費削減効果をもたらしているかについてはよく理解してもらう必要があるので、貢献度の可視化には力を入れている。

江口 例えば当社が航空会社と交渉して得た法人契約レートの割引に相当する分は、大学への出張費用削減のためにすべて還元しています。あわせてどの教職員がどこに出張し、費用はいくらだったか、そのうち航空会社から得た割引に相当する分はいくらだったか、といったことはすべてを請求書上でもデータ上でも分かるようにしています。

 さらにそれを年度単位でまとめ、「これだけの経費削減効果があった」という事実を大学に報告し、当社の存在意義を理解していただくようにしています。