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グアム、局長来日で安全をアピール-目標70万人変えず

  • 2017年8月21日

GVBのデナイト氏  北朝鮮がグアムに向けて弾道ミサイル発射を検討しているとの報道が続くなか、このほどグアムからグアム政府観光局(GVB)局長兼CEOのジョン・ネイサン・デナイト氏が来日し、8月21日に都内で記者会見を開催した。デナイト氏は「メディアによる報道には正確でないものもある。グアムに関する正確な情報を皆様にお伝えするために来日した」と説明し、グアム国土安全保障・市民防衛室顧問が、北朝鮮からのミサイルがグアムに着弾する可能性は「0.000001%」と発言していることを紹介。あわせて「グアムの警戒レベルは通常通りで、これまでと同様、家族連れに優しい安全な訪問先であることは変わらない」と訴えた。

 8月1日から15日までの全体の訪問者数については、過去最高だった昨年からむしろ3%増加していることを説明。「短期的には影響は出ていない」とアピールした。その上で「観光業は(風評被害などに)脆弱な部分があるが、グアム経済の原動力なので守ることが必要。今回の私の来日でグアムが絶対に安心・安全であることをアピールしたい」と話した。

 同氏によると、日本人はグアムへの全訪問者数の45%を占め、消費額も最も高い「1番のソースマーケット」だが、日本/グアム間の航空座席の減少などから16年の日本人訪問者数は前年比3.5%減の74万5691人にとどまり、今年の1月から7月までの累計も9.3%減の38万533人と前年を下回っている。今年の日本人訪問者数の目標の70万人については「北朝鮮問題が発生しても、目標値は変えていない」と強調。なお、全体の40%を占める韓国については、風評被害の払拭に向けた記者会見の予定はないという。

 今後は旅行会社や航空会社などのパートナーと引き続き協力する考えで、今回の来日でも日本旅行業協会(JATA)や航空会社などとミーティングをおこなう予定。デナイト氏は8月以降の旅行予約の減少の可能性に対しては、「お客様がグアム旅行を決める際、ニュースの影響を受けることはあり得るだろう」との見方を示した上で、「旅行業界のパートナーからサポートやキャンペーンなどの要請があれば、喜んで応じたい」と強調。例えば、グアムへの団体旅行を予定している企業や学校などに対し、グアム知事が手紙を書いて状況を説明するなどの取り組みをおこなうという。

 安全対策としては、グアム準州知事室やグアム国土安全保障・市民防衛室顧問が、米軍などと情報を共有し、セキュリティ上の脅威が発生した場合はすぐに連絡を受ける体制を構築している。同氏は緊急時の住民や観光客への対応については、これまで台風や津波などの自然災害の際にも迅速に対処してきたことを挙げ、「緊急対応システムには自信がある」と語った。

▽トランプ氏発言に前向きなコメント

 このほか、同氏は米国大統領のドナルド・トランプ氏が、知事との電話会談において「今回の事件でメディアの注目が集まったことで、観光客が10倍に増えるのでは」とコメントしたことについても言及。メディアが世界中から取材のためにグアムを訪問し、北朝鮮問題以外にも美しい自然や魅力について報道していることに触れ、「大きくグアムを売り込むことができたのでは」と前向きな考えを示した。

グアム準州副知事のテノリオ氏(画像提供:GVB)  なお、この日の記者会見は、当初はグアム準州副知事のレイ・テノリオ氏も同席する予定だったが、航空機の機材トラブルの影響で到着が遅れたことから、まずはデナイト氏のみによる記者会見を午前中に実施。夕方に2氏揃っての会見を開催した。