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トップインタビュー:Airbnb Japan代表取締役の田邉泰之氏

  • 2015年12月17日

民泊のメリットは高い経済効果、地方誘客も
早急な法整備が課題、旅館などとの協業検討

-提供施設が旅館業法など既存の法制度に違反しているとの声もありますが

田邉 我々は現在の日本の状況は不明瞭だと考えており、できるだけ早急にクリアにすることが重要だと考えている。特区制度を活用した民泊の動きにより、一定の部分はクリアになったと認識しているが、我々の最終的な目標は、弁護士に頼らなくても分かるような、分かりやすい法律の整備だ。社内の公共政策部門の担当者が世界各国の行政サイドと話をしており、すでに法制度が整備されている国もある。日本でもできるだけ早く法制度を整備して欲しいと考えており、引き続き頑張って宿泊施設や関係各所と話し合いをおこなっていく。

 また、宿泊施設の転貸などの問題があるが、我々は転貸が不可能な物件は登録しないように利用規約で明示している。我々はあくまで民泊を仲介するプラットフォームであり、ホストやゲストには厳守すべき規約を了承してもらった上で利用していただいている。罰則などは設けていないが、もし規約違反を見つけた場合は、我々がアカウントを取り消す権利は持っている。しかし、国や個人により貸す環境は異なるため、1件ごとに確認するのは難しい。それぞれの法律、ルールを厳守するよう、絶えず呼びかけをおこなっている。

 我々は旅館業法を軽視しているわけではない。もともとはユーザーに対し安全な宿泊環境を整えることに注力してきたが、今は近隣の住民や物件の所有者を含めた各地域のコミュニティのなかに、Airbnbがどう上手に入っていくかを大きな課題と捉えている。具体的な案を話せる状況にはないが、今後取り組んでいきたい。


-ホテルや旅館からはビジネスに対する影響を懸念する声も挙がっています

田邉 影響はあまりないと考えている。他国でAirbnbの登録施設が何万軒とある場所で、ホテルとAirbnbの提供する施設のある地域を比較したが、重複はあまりない。懸念の声は、ホテルや旅館の方々に対して、我々の説明が不足しているためと考えている。直接お会いして話すとご理解いただけることが多いので、引き続き説明を続けていきたい。

 我々は、ホテルや旅館とは競合よりも協業したいと考えている。宿泊施設とは色々なお話をさせていただいており、Airbnbを活用するアイデアが生まれてきている。具体的な協業の話もあり、来年早々には地方における数施設との取り組みを発表したいと考えている。

 また、地方公共団体や空き家の活用に取り組んでいる企業などと手を組み、地方創生や空き家問題の解決に寄与できればと考えている。さらに、旅行会社との協業についても話をしているところで、具体的に決まっている案件はないが、色々な可能性はあると考えている。旅行業法や旅館業法など、それぞれにルールがあるため、可能なものから少しずつ取り組みを進めていきたい。


-ありがとうございました