トップインタビュー:Airbnb Japan代表取締役の田邉泰之氏

  • 2015年12月17日

民泊のメリットは高い経済効果、地方誘客も
早急な法整備が課題、旅館などとの協業検討

-Airbnbを日本で展開する上で、注力していることは

田邉 最も気をつけなければならないことは、我々のサービスを丁寧に拡大していくこと。Airbnbがどういうものかを利用者に正しく理解してもらった上で、利用してもらう必要がある。ゲストが宿泊提供者(ホスト)にホテルのサービスと同様のものを期待して利用するとギャップが生じ、不満に思う人も出てくるだろう。

 我々はホストとゲストの関係性を重視しており、マーケティングの面ではコストはかかるが、オフラインでも情報提供や交流の場を増やしていきたいと考えている。ホストとゲストのコミュニケーションの場を設け、彼らのコミュニティを大事に育てていくためのイベントを実施している。


-民泊では安全性の確保が課題として挙がっていますが、貴社の対応は

田邉 ホストとゲストが互いを評価し合うレーティング制度を展開し、安全を確保している。例えば、ゲストが泊まった部屋が汚かったりしてサービスが悪かった場合は「この部屋は汚いから行かないほうがいい」とコメントできる。一方、ホストもゲストの行動に対してコメントすることができる。こうしたレーティング制度では、ルールを守らない人々は排除されていく。メンバーであり続けるためには、ホストとゲストが互いを尊敬し、相互に評価していく必要がある。

 また、ユーザーにはAirbnbを利用する前、パスポート情報、電話番号、メールアドレス、Facebookのアカウント情報、写真など個人情報の登録を依頼している。そうすれば、Facebookの情報などを通じて、ユーザーの人となりをある程度理解することができるし、個人情報の提供によりホスト、ゲストともに信頼感や安心感が生まれる。

 ユーザー間のトラブルはないわけではないが、例えば今夏はAirbnbを1700万人が利用したうち、問題が発生して緊急対応した件数はわずか300件だった。トラブルは未然に防ぐことが最も重要であるので、我々は専門のチームを設け、ウェブサイト上の動きを監視している。

 また、万が一何かあった場合の補償も必要だ。ホストに対しては、ゲストがホストの提供物件に損害を与えた場合、1億円まではAirbnbが補償する「ホスト保証」を提供しており、このほど対人、対物事故の損害賠償に最大100万ドルを補償する「ホスト補償保険」も開始した。24時間のカスタマーサポートセンターも設けており、日本人の利用者に対しては日本語での対応も可能だ。

 ゲストに対しては、宿泊料金の支払いの仕組みを工夫している。ゲストが支払う宿泊料金を我々が1度預かり、チェックインから24時間後にホストに支払う。ゲストが24時間以内に、ホストが提供する情報と実際の宿泊施設にギャップを感じ、カスタマーサポートセンターに連絡いただいた場合は返金し、次の宿泊先を探す手助けをおこなう。我々が間に入ることで、ゲストのリスクを最小限にしている。