itt TOKYO2024

ホテル販売のIT活用、多様な販路の組み合わせを-WIT Japan

  • 2014年5月27日

 オンライン旅行業界の国際会議「Web in Travel Japan 2014」が5月16日、東京で開催され、多岐に渡るテーマにおいて議論がおこなわれた。「乱立する販売チャネルとイールドマネージメント」と題されたセッションでは、国際的なホテルチェーンやホテル向けソリューション企業などから、6名がパネリストとして登壇。販売チャネルが乱立する現在、ホテルがさまざまなチャネルを組み合わせながら、いかにして利益を確保するかについて、活発な意見交換を繰り広げた。


ディストリビューションが複雑化
直販、OTA、比較サイトなどのバランスが重要に

アコーホテルズ アジア・パシフィック部門デジタル・マーケティング&ディストリビューション担当副社長のイェンツ・ウヴァ・パーキニー氏 セッションの冒頭、アコーホテルズのアジア・パシフィック部門デジタル・マーケティング&ディストリビューション担当副社長を務めるイェンツ・ウヴァ・パーキニー氏は、今年の第1四半期において、同社のグローバルでの売上高が前年比4.6%増となり、特にアジア・太平洋地域では8.1%増と好調に推移したことを報告。ラグジュアリー・ブランドの本部をパリからシンガポールへと移動させ、開発を進める同地域への注力をはかったほか、インターネットによる直接予約が多い中国で、中国語による予約プロセスの最適化などに注力したことを好調の要因としてあげた。

トラスト・インターナショナル アジア・パシフィック部門販売担当副社長のクリスティーン・タン氏 ホテル向けにソリューション事業などをおこなう、トラスト・インターナショナルのアジア・パシフィック部門販売担当副社長を務めるクリスティーン・タン氏は、現在のホテル販売を取り巻くトレンドとして、「ディストリビューションがどんどん複雑化している」点を強調。販売の円滑化のためには、オンラインにおいても「実店舗のウィンドウのセットを考えるように、どのようにして通りすがりの人を引きつけるかが重要」とし、優れたコンテンツや画像、過不足ない情報のミックスが不可欠と説明した。

ホテルズコンバインド インターナショナル・パートナーシップス・マネージャー エヴァ・フーケ氏 ホテル料金の一括比較サイト「ホテルズコンバインド」のインターナショナル・パートナーシップス・マネージャーを務めるエヴァ・フーケ氏も、「まずは製品ありきだが、それをいかにして比較検索サイトにディスプレイするか。そしてイメージをいかにして製品に反映していくか」が重要と指摘。比較検索サイトのなかで、競合に打ち勝つ優位性を示せるか否かがカギになるとした。

 各チャネルへの投資については、タン氏が「資金が100ドルあったら、60ドルを直販、OTAと比較検索サイトに各20ドルを投資する」と、ホテルにとって一番利益率がいい直販を重視する考えを表明。ホテルには直販による収益性拡大に向け、モバイルサイトの拡充や、ウェブサイトのモバイルへの適応を促している旨を説明した。その一方でパーキニー氏のように、「全ての資金を比較検索サイトに投資する」との意見も聞かれた。

セーバーホスピタリティソリューションズ アカウントマネージャーの小原功次氏 このほか、セーバーホスピタリティソリューションズのアカウントマネージャーを務める小原功次氏は、データ分析の重要性について指摘し、「過去のデータを踏まえて、顧客層などにどのような変化が見られているか」について注視すべきとした。この点についてはパーキニー氏も同調し、「優れたデータ・アナリストが必要になる」と強調。「アコーではそのためのチームが、ホテルレベルでも本社レベルでも充実している」と話した。