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久保長官、海外旅行の重要性強調-2000万人達成で協力呼びかけ

  • 2014年1月9日

観光庁長官の久保成人氏 トラベル懇話会は1月9日、都内で新春講演会を開催した。冒頭、登壇した観光庁長官の久保成人氏は、観光立国推進閣僚会議で取りまとめた「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」でも海外旅行の促進は意義があると明記されているとし、「双方向の交流が観光にとって何よりも大切なので、充実させていきたい」と話した。

 同日法務省が発表した2013年の日本人出国者数(速報値)は、前年比5.5%減の1747万2627人。久保氏は「数字が若干落ちた」と振り返り、「海外旅行の促進は日本国民の国際感覚の向上とともに、何よりも各国間との相互理解の増進にきわめて大事」と海外旅行の重要性を強調。「2000万人目標達成のため、皆様の力を借りて取り組んでいきたい」と参加者に協力を呼びかけた。

JATA会長の菊間潤吾氏 また、日本旅行業協会(JATA)会長の菊間潤吾氏も、2013年について「日本人出国者数2000万人をめざす我々としては残念」と述べた。近隣諸国への渡航の落ち込みが人数の減少に響いたとの分析だ。ただし、「欧州、アメリカのロング方面は増えており、前向きに捉えている」という。

 また、菊間氏は旅行会社の取扱額ベースでは前年の2%減程度で留まっているとし、「出国者数よりも取扱額で見たほうがいいかもしれない」とコメント。「環境の改善で再び上昇気流に乗せることは難しくない」との考えを示した。

 2014年は海外旅行自由化50周年を迎えることを踏まえ、50年間海外旅行の果たしてきた役割、意義に加え「旅行会社の果たしてきた役割もかなり大きかったと自負している。そういうものをマーケットに再認識していただくような、旅へのモチベーションが高まるようなプロモーションをしていきたい」考えだ。今年は昨年1年間でJATAの政策検討特別委員会でおこなった課題の整理とアクションプランにもとづき、具体的に着手していくという。

トラベル懇話会会長の林田建夫氏 また、トラベル懇話会会長の林田建夫氏も、2014年は海外旅行は持ち直すとの見通しを示した。同氏は「向かい風の円安はあるが、羽田国際線の増枠、LCCの増大や、なんといっても景気回復が持続することは力強いこと」と期待を話し、「将来日本が強くなっていくためにはツーウェイツーリズムが基本」と語った。


▽訪日2000万人めざしプロモーション強化、受入環境整備で航空ネットワーク充実も

 一方、訪日外客数は日本政府観光局(JNTO)発表の2013年12月20日までの累計で1002万人となり、法務省によると2013年の累計外国人入国者数(速報)は1125万4841人となった。久保氏は、2013年はオールジャパン体制でさまざまな取り組みをおこなったため1000万人を達成できたとし、「14年は2000万人の高みをめざしてスタートを切りたい」と話した。今年は昨年ビザの規制緩和などで訪日客が増加したアセアンに対する取り組みを強化。さらに、観光庁が潜在市場と捉える欧州への戦略的かつ重点的なプロモーションも開始していく。

 加えて、受入環境の整備も早急におこないたい考えで、特に航空ネットワークの充実や空港機能の強化など、観光行政として関係各位にお願いをしていきたいとした。さらに、2020年の東京五輪を契機に、国際会議を中心としたMICEの招致についても一層取り組みを強化し、国際競争力の強化をはかりたいとした。