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アクセスランキング、1位はNH機内食、羽田枠にも引き続き注目

[総評] 今週の1位は、全日空(NH)の国際線エコノミークラスなどの新機内食についてご紹介した記事でした。グローバル競争の中で“選ばれる航空会社”となるための施策だそうで、取材で試食する機会のあった記者によると、全体的に美味しく地上で販売されていれば買いたいということでしたので、お客様の満足度は高いものと考えられそうです。

 LCCを含めた航空会社間の競争が激化する中で、機内食やシートは食欲と睡眠欲に関わる分野ですから積極的に差別化がはかられていく分野ではないかと思います。

 先日も日本航空(JL)によるホノルル線の機内食刷新をお伝えしました(リンク1リンク2)し、今週の9位にはシンガポール航空(SQ)の新座席のフォトニュースもランクインしていますが、こうした動きが続けばお客様の満足度の基準が上がり、さらに競争が進むという、利用者の視点ではありがたい循環になるかもしれません。

 ただ、旅行業界に身を置く立場としてひねくれた見方をすると、サービスやプロダクトへ投資をするために流通に投じる費用が削減されることもあり得るのではないかと勘ぐってしまいます。「お客様のためである」という言い分はそれ単独では真っ当であり、結局は売ってほしいと言われるような努力を流通側がすべきといったところに落ち着くのかもしれませんが、きちんとした文字通りのWIN-WINの関係が構築されていくことを願ってやみません。

 これとは逆の意味で取引関係が問題となっているのは2位の記事です。旅程保証や取消料規定などの弊害はかねて指摘されてきましたが、日本人に人気の高い欧州からこうした声が上がったことは重く受け止めるべきでしょう。今年度内に旅行業法など諸制度の見直しについて方向性が取りまとめられる予定ですが、観光庁が昨年度開催した検討会で提言された「世界最高・最先端の観光産業」の実現に向け、遺漏のない議論が求められます。

 さて、このほかでは今週も羽田発着枠の話題に注目が集まりました。さすがに4週連続のトップはなりませんでしたが、3位にユナイテッド航空(UA)、5位にハワイアン航空(HA)の記事が入っています。UAはサンフランシスコ線、HAはコナ線を申請しており、前回デルタ航空(DL)がデトロイト線をシアトル線に振り替えた際の議論が再燃することになります。

 5位の記事では触れませんでしたが、DLの就航地変更の議論に際して米国運輸省(DOT)は、DLのシアトル線就航を認めた理由として同路線が「米国内の新しい地域に羽田へのアクセスをもたらす」ものであることを最重視したと説明していました。

 その上で、HAのコナ線は、ハワイ州として見ればHAとJL、NHがホノルル線を羽田から開設していること、UAのサンフランシスコ線はJLが就航しアメリカン航空(AA)がコードシェアしていることから、米国民にとっての公益性は相対的に劣ると指摘しています。

 ただし、一つ注目されるのはサンフランシスコ線について、東京/米国間で2番目に大きい市場であり、DLのシアトル線よりも市場規模が大きいこと、米国の航空会社として初めて自社運航することになることなどははっきりと価値を認めていたことです。

 今回の議論でDOTがどのように判断するかは不明ですが、同じ判断基準を適用するのであればUAが有利となると考えてよいでしょう。逆にいえば、HAはコナ線について、米国側の持つ4枠のうち2枠、日本側を含めれば8枠のうち4枠を、日本発のレジャー需要ばかりのハワイ州に振り分けることがいかに公益性の高いことかを示さなくてはならないはずです。

 また、もう一つ気になるのは、就航は来年の冬スケジュール以降になる見込みですが、羽田の昼間時間帯の発着枠配分に今回の決定が影響する可能性です。DOTはアライアンス間のバランス、地理的、人口的な市場規模などを考慮に入れて判断するはずですから、昼と夜を完全に切り分けない限りは影響すると考えるのが自然でしょう。

 航空当局間協議もおこなわれていない段階ですし、日本側でのNHへの傾斜配分なども踏まえるとまったく予想できませんが、1便100億円といわれる羽田枠の配分が旅行業界に与える影響は小さいものではありません。

 前回のDLによる発着枠の振り替え申請の際には、7月31日にDLが申請した後、AAを含めた3社が代替案を申請し、DOTは11月15日付けで暫定承認を発表しています。まずは夜便で空きが出る1枠がどのように扱われるか注視したいと思います。(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2013年10月第4週:10月19日0時~10月25日18時)
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