JATA、12年度の苦情相談件数は7.7%減-相談時間や回数は長期化

  • 2013年5月26日

 日本旅行業協会(JATA)によると、2012年度の消費者からの相談件数は前年比7.74%減の1121件となった。消費者以外の相談では、旅行業者からの相談が7.74%減の1121件、消費者相談センターからの相談が0.30%減の660件とほぼ前年並み。合計相談件数は7.83%減の4110件となった。

 JATAによると、12年度は業界として大きなトラブルが発生しなかったことや、後半から日中韓の領土問題が発生し、トラブルや苦情が多い韓国や中国への渡航者数が大幅に減少したことが相談件数減の一因となったとの見方だ。

 申出は旅行会社とのトラブルが最も多く、消費者や消費者相談センター、旅行業者などを合わせて3063件。このうち、取消料が624件と最も多かった。次いで申込み、契約が398件、手配内容が363件だった。

 相談内容では、消費者が自分の一方的な考えを強く主張するケースが増えており、相談1回あたりの対応時間の長期化や、電話、FAX、手紙などを活用して1つの案件について複数回申出を繰り返すなど相談回数の増加などにより、1案件ごとに費やす時間が増加しつつあるという。

 また、JATA消費者相談室室長代行の金子眞一氏によると、インターネット取引において簡単に契約が可能になったことから、契約内容をあまり読まずに申込し、苦情を申立するケースが発生している。さらに、インターネットでの航空券や海外ホテルの手配旅行契約と、募集型企画旅行契約の取り消し規定を混同することから、格安航空券などの取消料や違約料、取扱手続料金の請求に納得しないケースも発生。「手配旅行の取消料があること自体を理解していないケースもある」という。

 JATAでは苦情に関し、ウェブサイトで事例を紹介するほか、消費者相談センターの消費者講座などへのJATA講師の派遣を実施。また、JATA会員に対しては苦情をなくすために自衛する方法などを説明しているとした。