アクセスランキング、バス事故で法令違反が1位-航空座席増も

  • 2012年7月27日

[総評] 今週は、高速ツアーバス事故に関わる話題が1位になりました。例によってニュースポータルサイトで紹介されたと思われるケタ違いのアクセスとなってはいますが、記事の内容としては、国土交通省と観光庁が高速ツアーバスを企画実施している旅行会社と貸切バス事業者に立入検査したところ、旅行会社28社、バス事業者250社に法令違反があったいうもので、襟を正して受け取るべき情報といえるでしょう。

 どのような業界でもそうなのかもしれませんが、旅行業界はとかく慣習がものをいう印象を受けますし、いわゆる“なあなあ”で業務を進めてしまうことも多いように思います。私自身も反省しなければならない点が多々あると自覚していますが、やはりルールはルールとして守る必要があります。

 例えば第3種旅行会社が募集型企画旅行を企画実施しているようなケースがありますが、きちんとルールを守って営業している第1種、第2種の旅行会社からすれば許すべからざる違反でしょう。

 もちろん無意味なものや理不尽なものもないではありませんが、それはルールを変えることを考えるべきで、ルールが定められている以上は必ず遵守しなければなりません。

 まして、記事の中で羽田大臣が「公共交通の安全確保を司る者として極めて遺憾」と話されている通り、人の命にかかわることですからなおさらです。高速ツアーバスに関係していなくても、「安全確保を司る者」としての責任はすべての旅行業関係者に生じます。旅行は命に関わるものなのだということを、今一度重く受け止めるべきでしょう。

 ところで今週はこのほか、海外旅行市場の好調さを示す記事が複数ランクインしています。6位の記事では上期の出国者数が過去最高となる894万人となったことをご紹介しており、2位、5位、7位には座席供給量の増加に関するニュースも入りました。

 公益財団法人日本交通公社(JTBF)主任研究員の黒須宏志氏は通年の出国者数を1880万人と予想されましたが(リンク)、是非ともこの予想通りに進んでほしいものですし、むしろそれを上回るほどの伸びが実現されればと願っているところです。

 気になるのは、おそらくインバウンドの需要が大きいタイ国際航空(TG)による札幌線の増便計画で、インバウンド需要が回復し、プラス成長に戻り始めるとアウトバウンド用の座席確保が困難になってしまいます。旺盛な需要に対して座席供給量を追加する航空会社が多ければ多いほど良いのですが、必ずしも各社がそうした判断をするとも限りません。

 旅行会社としては、3位でJTBワールドバケーションズ代表取締役社長の北島文幸氏が話されていますが、フルサービスキャリア(FSC)、LCC、チャーターを組み合わせてお客様に提供していく必要があるでしょう。

 LCCとの付き合い方にはこれというモデルがあるわけではないですけれども、ないからこそ既存の考え方にとらわれない関係を構築するチャンスかも知れません。その意味では、ランク外ですが航空経営研究所副所長の牛場春夫氏のお考えについての記事(リンク)もひとつの参考になるのではないかと思います。是非ご一読ください。(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2012年7月第4週:7月22日0時~7月27日18時)
第1位
高速ツアーバスで立入検査、旅行会社28社が法令違反(12/07/22)

第2位
全日空、成田/ニューヨーク線増便へ、夕方発を追加(12/07/24)

第3位
ルックJTB、13年度は更なる進化-買い取りにも積極姿勢(12/07/26)

第4位
ジャルパック、下期は品質重視、LCCと差別化-ビジネス、プレエコ商品強化(12/07/23)

第5位
シンガポール航空、冬は成田2便ともA380に-スケジュール調整で(12/07/24)

第6位
12年上期の出国者、過去最高の894万人-6月の訪日外客、震災前水準に回復(12/07/22)

第7位
タイ国際航空、札幌線の就航前に増便決定、反響大きく(12/07/25)

第8位
現地レポート:パラオ、ウェディングの新デスティネーションに(12/07/26)

第9位
第3種の旅太郎、7月25日で営業停止か(12/07/26)

第10位
サービス連合、労働時間削減めざし新目標-最低賃金見直しも(12/07/25)