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12年の出国者は1880万人予想、14年中に2000万人達成へ-JTBF

  • 2012年7月24日

公益財団法人日本交通公社主任研究員の黒須宏志氏  公益財団法人日本交通公社(JTBF)は7月24日、海外旅行動向シンポジウムを開催し、主任研究員の黒須宏志氏が2012年の出国者数について、前年比8.9%増の1850万人から11.8%増の1900万人になるとの見込みを示した。LCCの就航や、羽田の再国際化による航空座席供給量増加の効果、円高などから「12年は(間を取って)1880万人を予想している」という。

 直近の出国者数は、5ヶ月連続で過去最高値を更新し続けるなど好調に推移。2011年7月から2012年6月までの累計出国者数は1830万6000人で、過去最高だった2000年7月から2001年8月までの1822万3000人を上回った。震災以降、人々の意識が大きく変化したことで、経験消費を重視し、自己投資や自分の時間を大切にする傾向が生まれるなど価値観が変化したことが増加の一因との考えだ。黒須氏は「我々が築いてきた消費としての旅行から、もう一度プライベートな体験としての旅をしようという変化があるのでは」と推察した。

 また、羽田の再国際化前と現状を比べると、座席供給量が増えており、ロードファクターが減少していることから座席供給量に余裕があると指摘。市場の息切れが起きない限りは伸びが継続していくとの予測した。

 2015年までの見通しでは、3つのシナリオを想定する。最も好調に推移した場合、円高や羽田の容量再拡大による座席供給量の増加などを背景に、成長率を年率5%増と予想。プラス成長が維持するとの仮定のもと、早ければ2014年上期に2000万人を超えるとの予想だ。

 また、2013年から座席供給量が厳しい状況となり横ばいが続いたとしても、2013年度中の羽田の容量再拡大によりアウトバウンドが増加するとの見通しから、2014年は年率7%増と想定。14年度中には2000万人を超えると予想する。

 一方、12年の出国者数を1850万人と仮定し、羽田の容量再拡大まで座席供給量の余裕が保てず出国者数の伸びが失速、微減した場合は、容量再拡大による増加はあるが、2000万人達成は2015年以降となる見込みだ。黒須氏は「どのシナリオになるのか予言はできないが、今の市場の流れを強く信じて、ベストシナリオになっていくような気持ちでやっていきたい」と考えを示した。