アクセスランキング、1位は日本初就航、座席増の話題が3本

  • 2012年5月25日

 [総評] 今週は、トランスアジア航空(台湾名:復興航空/GE)が6月に関空/台北(桃園)線を開設し、定期便としては日本に初めて就航するという記事が1位になりました。このほか、4位のフィンエアー(AY)、5位のユナイテッド航空(UA)も増便ないし新路線の開設についてとなっており、座席供給量増加のニュースが続いています。

 こうした動きの背景として、航空業界の規制緩和が進んでいることが一因として考えられるでしょう。GEはその最たる例で、今回の新規就航は日台間のオープンスカイが実現したことを受けたものです。UAも、オープンスカイを基盤とした全日空(NH)との共同事業の枠組みがなければ、就航の判断は変わっていたかもしれません。

 GEは今後も北海道や沖縄への路線開設を計画しているとのことですし、さきほど記事をウェブ上に公開しましたが、タイ国際航空(TG)も札幌/バンコク線の開設を発表しており、さらにLCCの就航も予定されていることからすると、今後も同様の話題が飛び込んでくる可能性は高そうです。

 座席供給量と需要には強い相関関係がありますが、実際のところ需要も好調に推移しています。記事はランク外になっていますが、4月の出国者数は2011年比で25.1%増、2010年比でも15.6%増と大きく伸び、2月から3ヶ月連続で、それぞれの月の単月での過去最高を更新しています(リンク)。

 1月から4月の累計では約602万人となっており、この4ヶ月間のみで600万人を超えたのも当然初めてです。通年での出国者数が1780万人を数えて過去最高となった2000年と比較すると、約50万人も多いことになります。今後、インバウンドの需要が回復するにつれて日本発で利用可能な座席が減少する可能性はありますが、GEやAY、UAのような話題が続けば1800万人の到達も十分に期待できそうです。

 一つ気になるのは、2000年当時と比べて、デスティネーションのシェアが激変していることでしょう。4月までに出国者数が2ケタ伸びたからといって、すべてのデスティネーションへの日本人訪問者数がそれに近い推移をしているわけではなく、簡単にいえば「安・近・短」が非常に強い時代になっているわけです。

 とはいえ、ある欧州の観光局の方に先日、LCCの効果は長距離方面には波及しないのではないかとお聞きしたところ、「どこであろうと日本人が海外に出てくれれば、結果的に我々にとってもメリットになる」とのお答えが返ってきたのですが、このようにまずは市場が拡大することを良しとする考え方もあります。

 確かに、出国者数が減るよりは増える方が良いのは当たり前でしょうし、今年1月に掲載したインタビューでJATA会長の金井耿氏が話されていたように、10年以上の間一度も越えられなかった1780万人の壁を突破できれば、目の前に広がる光景が変わる可能性は十分にあるでしょう。

 欧州危機など懸念もあり、1800万人を超える確証など何もありませんが、そういったリスクにはきちんと備えつつ、円高などの効果で高まっている需要は取り込み、そうでない潜在需要は掘り起こし、1人でも多く海外旅行に行っていただく地道な取り組みが、旅行業界の次のステップにつながっていくはずです。(松本)


▽日刊トラベルビジョン、記事アクセスランキング
(2012年5月第4週:5月20日0時~5月24日16時)
第1位
トランスアジア航空、関空/台北線に就航へ、A321でデイリー(12/05/20)

第2位
トップインタビュー:春秋航空 董事長の王正華氏(12/05/24)

第3位
JTBとじゃらん、海外旅行で提携、「トルノスじゃらん」開始(12/05/23)

第4位
フィンエアー、成田を増便-定期チャーターで、日本発着24便に(12/05/23)

第5位
ユナイテッド航空、B787でデンバー線開設へ、13年4月から週7便(12/05/23)

第6位
井手長官、訪日外客数「楽観できない」-韓国、仏の回復遅れに懸念(12/05/24)

第7位
アメリカン航空、国際線機材を改修へ-B772ERとB763ER(12/05/20)

第8位
KNTT、iPad積極活用、オプショナルツアーとカナダ販促-6月から全店舗で(12/05/21)

第9位
エア・パシフィック社名変更、「フィジー・エア」に-構造改革で(12/05/20)

第10位
シンガポール航空、アブダビ線とアテネ線を運休へ(12/05/21)