ANAグ、12年度営業利益、過去最高の970億円

  • 2012年5月7日

コスト削減で増益、売上高は国際線が牽引し4%増

 全日空(NH)グループの2012年3月期(2011年4月1日~2012年3月31日)の連結業績は、売上高が前年比4.0%増の1兆4115億400万円、営業利益が43.1%増の970億2200万円の過去最高となり、増収増益となった。震災の影響による減収もあったが、国際線旅客事業を中心に約500億円の増収を達成。通期で実施した緊急収支改善策で約320億円のコスト削減を実施したことに加え、2012年度以降に実施予定だった総額1000億円のコスト削減策を110億円程度前倒ししたことが奏功した。ユニットコストも約0.5円下がったという。経常利益は84.9%増の684億5500万円と過去最高、当期純利益は20.9%増の281億7800万円となった。

 航空運送事業は、国際線旅客数の増加が牽引し、売上高が3.6%増の1兆2625億円、営業利益も46.3%増の884億円と増加した。国際線は、震災後1ヶ月は需要が大きく減退したが、ビジネスは6月に、レジャーも夏に前年並みまで回復。売上高は14.0%増の3200億円、旅客数は13.8%増の588万3000人、旅客単価は0.2%増となった。座席供給量は15.6%増、旅客輸送量も13.0%増と増加。訪日外客の回復がゆるやかなこともあり、利用率は1.7ポイント減の73.7%となった。

 路線網では、震災により一部路線で運休や減便を実施したが、需要が高い路線は機材の大型化などを実施し需給適合を行なった。また、成田/成都線や中部/香港線、羽田/フランクフルト線を新設し、ネットワーク拡充に努めた。さらに、レジャー向けの各種割引運賃を設定し、ユナイテッド航空(UA)、コンチネンタル航空(CO)とのジョイントベンチャーで3社共同の運賃を設定し、競争力と利便性の向上に努めた。販売面では、成田経由の北米、アジアへの接続需要や、西日本市場での需要の取り込みを強化した。

 国内線は、震災からビジネスは6月、レジャーも2012年3月末にはおおむね前年並みまで回復。予約動向に応じて需給適合を実施し、「週末割引」など新たに割引運賃を設定した。B787型機も順次国内線に導入し、競争力強化に努めた結果、売上高は0.2%減の6515億円、旅客数は3.8%減の3902万人、座席供給量は0.1%減、旅客輸送量は3.9%減、利用率は2.4ポイント減の60.9%となった。旅客単価はビジネス需要の早期回復もあり、3.8%増と増加した。

 旅行事業では、売上高は0.3%減の1589億円と落ち込んだが、コスト削減に努めた結果、営業利益は48.2%増の39億円となった。海外旅行では7月以降は中国以外で震災発生前の水準に回復。「ANAハローツアー」では夏場の「旅ドキ」商品が好調に推移した。また、出発間際の需要取り込みを強化したダイナミックパッケージが大幅に取扱高を伸ばしたほか、年末のホノルルチャーターの販売も奏功し、前年を上回る結果となった。国内旅行もダイナミックパッケージが好調で、10月以降に前年を上回る取扱高となり、売上高も前年並みの水準まで回復した。

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