「想定外」は責任逃れ、危機後の事業継続のために-JATA経営フォーラム

  • 2012年3月6日

防災だけでは不十分

ニッセイ基礎研究所上席主任研究員の川村雅彦氏  さまざまな災害を想定し、多くの企業で企業防災が進んでいることだろう。企業防災を「防災」と「事業継続」という2つの項目に分けると、BCPとは何かがよく見えてくる。防災とは、文字通り地震や津波といった災害の被害を最小限にとどめるためのプラン。防災計画の中には従業員や顧客の安全をはかるだけでなく、地域の被害軽減や減災、二次災害防止などが含まれる。

 一方の事業継続とは、災害時における企業活動の早期回復と維持のこと。被災しても自社の業務や事業を継続させ、顧客や調達先などとのバリューチェーンが中断しないよう、もしくは中断しても短期間で再開させるためのプランで、これがいわゆるBCPだ。もっと噛み砕いていえば、「企業の財産である人・物・金・情報・システムをいかに有効に使うか、その仕組み作りのことを指す」(川村氏)。

 BCPという言葉は英国から伝わったもので、日本に入ってきたのは2008年のリーマンショック前後という。内閣府の2009年の調査によると、BCPを策定済み、もしくは策定中とする企業は、大手が58.4%、中堅企業が27.2%となっている。しかし、川村氏によると「日本におけるBCPは防災計画が中心で、事業継続計画までは考えられていない」のが現状だ。そのため、3.11の際も「BCPは思っていたより機能しなかった」という声があがっており、今後の見直しが検討されている。