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2010年の取扱高営業利益率-0.38%、01年以来のマイナスに-JATA経営分析

  • 2012年3月1日

業態別傾向
業務渡航が躍進


業態別経営分析の注意点

旅行会社を9つの業態別に分けた分析は、旅行業を本業とし、業態の分類が比較的しやすい会社を対象としている。対象会社が66社。うち、黒字社数は55社。2009年の対象数は95社、黒字社数は52社で、09年と黒字社の割合が異なる。業態区分と分析対象会社は表の通り。



 2010年、業態別で収益性が高いのは、業務性旅行特化系だ。営業利益率は12.0%、経常利益率は12.6%となり、いずれもマイナス値となっていた前年から大きく躍進。一人営業利益は172万6000円、一人経常利益は180万5000円で、業態別では唯一、3ケタを計上している。経常利益増加率では1051.1%と大幅な伸び率であり、リーマンショック後の景気後退による影響を受けた09年から、大きく回復したことがうかがえる。

 次ぐメディア・通信販売系は、営業利益率、経常利益率、一人営業利益、一人経常利益で09年と同じ2位となり、安定感がある。

 一方、09年は収益性を示す5項目の数値が最も高かった商品造成自社販売系は、営業利益率は4.5%で3位、経常利益率は5.0%で4位となり、一人営業利益と一人経常利益も09年より約26万円減少。レジャーよりも業務渡航市場の好調さが目立った。

 取扱高が伸びているのは、インターネット販売系。一人取扱高はホールセラーが2億4437万9000円と1位だが、インターネットが2億532万3000円と2位につけ、一人収入では1920万4000円で1位となった。ただし、インターネット販売系は、人件費比率が26.3%と唯一20%台で1位だが、広告宣伝費などを含む営業経費率全体では99.2%で全体の6位となっており、経費効率ではまだ改善の余地があるようだ。

 営業利益率、経常利益率が低かったのは、リテーラーと海外オペレーターだ。営業利益率では、リテーラーが-0.1%、海外オペレーターが-1.7%減と赤字となり、海外オペレーターは経常利益率でも-6.0%となった。

 なお、業態に関わらず、全体の結果でもインターネット販売の伸びが目立っている。180社全体平均の旅行取扱高のうち、旅行者への直接販売額は136億3851万5000円で、シェアは67.1%であったが、インターネット販売は09年の約2.6倍となる13億266万6000円。旅行者への直接販売額に占める割合は9.5%だが、09年よりも3.5ポイント高まった。