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JTB田川社長、地震でネット販売の存在感増す−海外は「心配していない」

  • 2011年5月11日
 i.JTBは5月10日、るるぶトラベルで2010年に販売などで好成績を残した宿泊施設を集めて「るるぶトラベル感謝の夕べ2011」を開催した。表彰式の冒頭、ジェイティービー(JTB)代表取締役社長の田川博己氏は、ゴールデンウィークの間際予約が好調であったことに触れ、インターネットでの販売の重要性が増していると指摘。JTBとして今後も積極的に取り組んでいく方針を強調した。

 田川氏は、ゴールデンウィークが当初は厳しい予想であったのに対し、「店頭にはなかなか行きにくいが、自宅で旅行の予約をするという状況が実際にそれぞれの家庭の中で生まれた」ことで間際予約が増加したと分析。そして、「阪神淡路大震災の際にはインターネットというものはなかった。インターネットが自粛ムードをやわらげる緩衝材になったのではないか」とし、「インターネットの予約というのは、ますます大きなウェイトを占めるのではないかと思っている」と語った。

 その上で、「JTBは、るるぶトラベルを含めて他社に比べるとまだまだ弱い部分がたくさんある」としつつ、4月に開始した中期経営計画の中でネット販売の強化を掲げていることに言及。「こういう時勢のなかで、なかなか他のことには手が出ないが、ウェブサイトに関しては成長戦略としてしっかりとやっていこうということ」とし、投資やプロモーションを継続すると語った。また、「手数料も8%を据え置くとはっきり言っている」とし、「こういう厳しい状況だが、皆様とともに新しい時代を受けた宿泊の販売の方式をさらに広げていきたい」と語りかけた。


▽旅行の「ムードは悪くない」、海外旅行の「仕掛け」継続

 田川氏はまた、表彰式に先立って実施した記者懇談会で、現状の国内旅行意欲について「ムードは悪くない」と説明。新幹線の開通やディズニーシーの営業再開などが追い風になったと分析し、6月までの予定であった東北のキャンペーンを9月まで延長することや、JTBグループの社内会議を東北で開催するなど取り組みを続けると語った。

 海外旅行についても、「あまり心配していない」とコメント。取扱い人数が1割から2割の減少で落ち着いていることを前向きに評価し、チャーターなどの「仕掛け」を継続することで需要の喚起と取り込みを進めると説明した。企業が休暇取得促進に取り組む流れもあり、ロングステイの増加を見込んだ商品の開発も進めているといい、5月中旬に発表する予定とした。

 一方、インバウンドは「最大の影響を受けている」といい、田川氏自身が5月17日からラスベガスで開催予定の世界ツーリズム協議会(WTTC)で訪日を訴えてくる考え。「仕掛け」の一環として、海外現地法人などに訪日旅行の商品造成も求めていくという。また、特に影響の大きなアジアの需要回復に向けては、日中韓観光大臣会合での共同声明などの追い風に期待を示した。


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