2010年の出国者数予測、1690万人に上方改定−伸び抑えるのは航空座席数

09年以降の、四半期ごとの過去1年間の出国者数をみると、09年第2四半期の年間1522万人で下げ止まり、2010年第2四半期には年間1630万人まで回復。一方、航空座席数は回復のペースが遅く、09年第2四半期の9.5%減から2010年第2四半期に前年並みに戻った。第3四半期に3.6%増となるものの、第4四半期には減少し、0.4%増とほぼ前年並みになる予想。黒須氏は「市場自体は回復していくはずだが、座席供給量が伸びを抑える具体的な要素になる」と語った。
このうち第4四半期以降の減少については、10月末以降の羽田拡張などで首都圏空港の便数が約8%増に拡大するとするものの、便あたりの席数は減少傾向にあるとし、下期では3、4%減少と予測。さらに第4四半期以降、日本航空(JL)がグループ全体で供給座席数を約30%減少する計画で、これが日本全体の供給総量の6%にあたり、これらの要素が供給座席数の伸びを減殺すると説明した。
▽中長期的には上昇軌道へ

そのカギとするのが、海外旅行市場の4割を占める「不活性層」(過去旅行した経験はあるが5年以上出かけていない)の活性化だ。その可能性として、特にショートホールの変化をあげる。行きたいデスティネーションの希望率は依然としてロングホールが高いものの、伸び率でみると中国が3.4%増、香港・マカオが3.2%増など、ヨーロッパ(2.7%減)、ハワイ(5.1%減)といったロングホールよりも上回っている。
黒須氏はショートホールの商品が、担当者が年に数回現地を訪れて商品を造成するなど、幅を広げて実力をつけている動きがあるとし、「市場回復のなかで重要なこと。ショートホールが伸びることで不活性層が戻れば純増分になる」と語った。
また、LCCについても「欧米、アジアでの動きをみれば、遠からず日本にもプラス、マイナスの両面で影響がある」としたうえで、「伸びるとしたらショートホール。インバウンドを増やす意味でも欠かせない手段」とし、「海外旅行の総量が増えなくてはどうにもならない。今はいい面を増やしていけるようにしていくべき」との考えを述べた。
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