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JATA、国内コミッション維持求め書面提出へ−奥山氏、NHは「積極性取り戻せ」

  • 2009年11月4日
 日本旅行業協会(JATA)の奥山隆哉氏は、全日空(NH)が次期経営戦略の骨子の中で国内線コミッションの見直しを掲げていることに対して、現状の枠組みの維持を求める書面を提出する意向を示した。JATAに対しては、公式発表前日の10月29日に説明があったという。奥山氏は、「少なくとも、金井耿会長名で反対の書面を提出する方向で調整する」方針だ。

 奥山氏は、国内線コミッション見直しの方針に対して、旅行会社が“航空会社離れ”を起こす可能性を指摘。つまり、新幹線の整備も進むなか、コミッションを得られる鉄道の販売にシフトする可能性があるとの考えだ。また、NHに対しては「航空会社は本来、需要喚起、需要の拡大の方法を考えるべき」であるにも関わらず、「自分たちの利益が出ないから(といって)旅行会社にそのツケを回そうとしている」と指摘。NHが縮小均衡ではなく、「NHらしいアグレッシブな営業スタイルに立ち戻って欲しい」とコメントした。

 ただし、コミッションの有無にかかわらず、航空券などの単品販売は中長期的にはオンラインに集中していく可能性が高いことから、旅行会社側の将来を見すえた戦略の必要性にも言及。奥山氏は、将来的に旅行会社経由での航空券流通が、「高付加価値・高生産性」を実現したサービスの一環として、あるいは「(これまでにはなかったほど大きな)規模の確保による廉売」に進むと予測。このうち、後者は複数の旅行会社の需要をまとめることで規模を実現する「コンソリデーター」が出現するとの考えで、前者は欧米の旅行会社のようなBTMやインセンティブに特化した形態を例示した。また、観光需要については、「定期航空に頼らない」ビジネスモデルの可能性も示唆した。


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