教育旅行の早期回復に向け旅行会社のサポートに期待−安全対策セミナーで

講師として登壇した日本旅行医学会専務理事の篠塚規氏は、海外の先進諸国の対応を例に取りながら、日本での一連の騒動に言及した。科学的データによると新型インフルエンザは弱毒性であり、海外渡航歴がなくても日本国内で感染者が出ている。つまり海外渡航を控えれば感染を防げるわけではない。また、約90年前に大流行したスペインかぜは、イメージが先行した恐怖ストーリーに過ぎないとし、栄養状態や衛生環境、医療技術、情報量などが違う現代と比較しても意味がないと訴える。
新型インフルエンザを懸念して教育旅行を取り消す必要はないとする一方で、篠塚氏は教育旅行に添乗する旅行会社社員や引率する教職員には、正しい医学知識の教育が必要だと述べる。新型インフルエンザではないが、感染症による旅行者下痢症を発症したツアー客に、旅行会社の添乗員が下痢止めを渡してしまい、症状を悪化させた事例なども挙げられた。新型インフルエンザに怯えすぎる必要はないが、新型にせよ従来型にせよ感染症を発症させないために必要なのは、基礎免疫力の強化と手洗いの徹底。また、新型インフルエンザは持病があると悪化するケースが多いため、持病がある場合は病院で処方された自分の病気に合った薬を、生徒自身に持参させることが大切だと強調した。

※訂正案内(編集部 7月7日 午後2時24分)
訂正箇所:第1段落
誤:新型インフルエンザ(H5N1型)
↓
正:H1N1型