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日本航空、中期経営計画の基本的な方向性を決定−国交相「痛み伴う改革を」

  • 2009年6月22日
 日本航空(JL)は6月19日、2009年度を初年度とする中期経営計画の基本的な方向性についてとりまとめた。これによると、従来のビジネスモデルにこだわることなく、収益性が高くリスク耐性の高いビジネスモデル構築を目標とし、そのために現在の供給規模や組織運営体制などの供給構造を抜本的に変革する考えだ。今後はこの基本的な方向性に基づき、需要回復に過度に依存しない供給構造への変革や、抜本的なコスト削減施策などについて検討。夏から秋にかけて中期経営計画を策定できるようめざす方針だ。

 具体的には、すでに2009年度に入って取り組みを開始している国際・国内旅客事業での路線廃止や減便、コスト削減のほか、機材計画の見直し、収益路線への事業の集中、さらなる抜本的なコスト削減を検討する。国際旅客事業では、すでに2009年度中に廃止1路線、減便2路線を計画しているが、従来の需要想定からさらに厳しく見積もった損益をベースに、運航地点の撤退を含めて路線計画を見直す。機材のダウンサイズや機材数の削減による供給量削減、低効率機材の更新促進、高効率機材の導入促進によるコスト削減なども検討する。

 コスト削減では、企業年金制度の改定、特別早期退職の実行などを09年度計画に盛り込んでいるが、整備、運航、客室、空港、営業など全部門にわたる運営体制や業務プロセスについて、さらなる抜本的な施策を検討していく。

 なお、この方向性について国土交通大臣の金子一義氏は、「今回示された考え方をたたき台としつつ、できる限り早期に経営改善計画を作り上げるよう求めていく」とコメント。その上で、経営改善計画では、「選択と集中により路線計画のあり方や重点化していく事業分野などについて、十分に踏み込んだ検討が行われ、日本航空の具体的な改革後の姿が明確に示されるとともに、痛みを伴う大幅なコスト削減計画が策定されることが必要不可欠」と指摘し、国土交通省として「しっかりと指導・監督していく」と語った。


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