旅のテーマ:世界のパワースポット(1)ビッグ・アイランド(ハワイ島)

  • 2009年4月20日
 最近「癒される場所」という意味で「パワースポット」という言葉がよく使われる。元気のない人が活力を取り戻すなら、確かにそこはパワースポットなのかもしれない。しかしこの言葉が頻繁に使われるために、古来より「神聖な場所」である本来のパワースポットが同列に扱われるようになってしまった。

 本来のパワースポットに共通するのは、「アニミズム」の世界があること。アニミズムとは、身の回りにあるものすべてに霊が宿っているという考え。キリスト教、イスラム教など、一神教の宗教が生まれる遥か以前から存在する自然崇拝や精霊信仰は、すべてアニミズムだ。今週は世界の代表的な“本物”のパワースポットを紹介する。



霊気に満ちた緑の谷

 世界のパワースポットで、真っ先にあげられるのがビッグ・アイランド(ハワイ島)だ。世界を代表するリゾート地ハワイ諸島は、1778年にジェームス・クック船長に発見され、西洋社会に知られる以前は、現在の華やかなリゾートのイメージとは異なる濃密な自然に満ちた島々だった。現在もその雰囲気は健在で、特にハワイ諸島で最大の島であるハワイ島は南東部から中部にかけて活火山のキラウエア山や標高4205メートルでハワイ州最高峰のマウナ・ケア山、マウナ・ロア山に支配され、北部は切り立った崖で容易にアクセスを許さない深い谷が並ぶ。

 ハワイ島がパワースポットになっているのは、圧倒的な自然に支配されているだけでなく、ハワイ王朝の本拠地であったことも関係している。歴代の王たちは、この島の北西部にあるワイピオ渓谷に葬られたとされており、人々は彼らの霊魂とその力を信じている。かつて谷を巨大な津波が襲ったことがあった。谷底にあった村は全滅したが、犠牲者は1人もでなかったという。人々はさらに強く霊魂(マナと呼ばれる)の力を信じるようになった。

 ワイピオ渓谷は400メートルの断崖で他のエリアと隔絶された緑の谷。谷を見下ろす展望台までは車で行けるが、谷底へは車でのアクセスは不可。急斜度の坂道を歩いて行くか、ツアーに参加して谷を巡るかのどちらかになる。北からの貿易風の影響でこの谷は雨が多く、常に瑞々しい緑にあふれており、谷の岩肌にはいく筋もの滝が流れている。訪れる人のほとんどが、そこに満ちる強い生命力に心身ともに癒されるという。


火山で感じる大地のエネルギー

 キラウエア火山もまた、火の女神ペレが住むと伝えられた聖地。世界有数の活火山であるその火口からは今も溶岩が流れ出している。まさに地球そのもののパワーを体感できる場所だ。キラウエア火山の北にあるマウナ・ケア山頂も聖地のひとつ。ここでは早朝にご来光を眺めるツアーが催行されている。澄み切った空気の中、雲海の上に朝日が顔を出した瞬間の荘厳さに、感動しない人はいないだろう。

 フラにしても、レイにしても、ハワイ土産の定番である木彫りのティキにしても、ハワイがスピリチュアルな場所であることの証拠。パワースポットとともにハワイの精神性に触れる旅をすれば、新鮮な体験になるはずだ。


▽ハワイ州観光局 ハワイ島の情報 
http://www.gohawaii.jp/islands/bigIsland.html


▽ビッグ・アイランド(ハワイ島)観光局
http://www.hawaiibigisland.jp/