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旅のテーマ:アニメの舞台を訪ねる(2)カナダ、赤毛のアンの島

  • 2009年4月14日
感激のあまり泣き出す人も

 のどかな海をバックに、タンポポの花咲く牧草地が広がる小さな島。カナダ東部のセントローレンス湾に浮かぶプリンス・エドワード島は、誰もが知っている小説『赤毛のアン』の舞台となった場所だ。1908年、ルーシー・モード・モンゴメリの初の長編として出版されたこの作品は、孤児院で暮らしていたアン・シャーリーが、11歳でプリンス・エドワード島のアボンリー村に引き取られてからの成長を描く物語。空想好きでおしゃべり、強い個性をもったアンは周囲の人々の心を明るくし、やがて皆が彼女を愛するようになる。なだらかな丘陵と美しい湖、神秘的な森、そして穏やかな海など、プリンス・エドワード島の素晴らしい自然も作品の大きな魅力となっている。

 日本では、アニメは1979年に放映された。原作に忠実に作られ、高い評価を得ている。昨日紹介した『アルプスの少女ハイジ』と同じく、高畑勲が演出を担当し、宮崎駿や近藤喜文ら、後のスタジオジブリ作品の担い手たちがスタッフとして参加した。2009年にはアニメ放送30周年を記念し、新作アニメ『こんにちはアン〜Before Green Gables』が4月5日から放映されている。

 『赤毛のアン』に憧れて、プリンス・エドワード島を訪れる人は今も多い。特に日本人女性には熱狂的なファンも少なくなく、なかには現地に到着すると感激のあまり泣き出す人もいるという。作品のなかでアボンリー村として描かれた町キャベンディッシュは、そんなファンの期待を裏切らない見どころいっぱいの場所だ。田舎の風景のなかに建つ「グリーンゲイブルス・ハウス」は、アンが少女時代を過ごした家。アンの部屋には女性をひと目で魅了しそうな、シンプルでかわいらしいインテリアが配されている。





1世紀を経ても変わらぬ人気

 グリーンゲイブルス・ハウスの近くには、アンが名付けた「恋人の小径」やうっそうとした「お化けの森」、そしてモンゴメリの住居跡がある。少し離れた場所にはモンゴメリが住んだ郵便局が再現されており、共同墓地には彼女の墓がある。モンゴメリは1942年4月にトロントで死去したが、キャベンディッシュに埋葬された。また、当時の生活を再現した歴史村「アボンリー・ビレッジ」が街中にあり、アン執筆当時の島の雰囲気を感じることができる。

 『赤毛のアン』が世に現れてからほぼ1世紀。2008年には出版100周年を記念して、さまざまなイベントが開催された。プリンス・エドワード・アイランド州の州都シャーロットタウンからは、赤毛のアンやモンゴメリゆかりの地を巡るバスツアーが催行されている。またアボンリー・ビレッジ内の教会やキャベンディッシュ近郊の町・ニューロンドンにあるモンゴメリの生家では、結婚式を挙げることも可能。モンゴメリが生前通った教会や、彼女が挙式した部屋でのウエディングは、アンに心酔する女性たちにとって忘れられない思い出になることだろう。


▽カナダ観光局 『赤毛のアン』出版100周年プログラム
http://www.canada.jp/anne/

▽プリンス・エドワード島観光局
http://www.tourismpei.com/j_index.php3


▽今週の旅のテーマ
旅のテーマ:アニメの舞台を訪ねる(1)スイス、ハイジの世界(2009/04/13)