本保長官、環境激変も「難しい時期こそ力つく」−トラベル懇話会

  • 2009年1月7日
 観光庁長官の本保芳明氏は1月6日、トラベル懇話会の第31回新春講演会で挨拶に立ち、「厳しい環境の中で船出できたことは良かった」と強調した。これは、「難しいときに仕事をしてこそ力が付き、ノウハウも蓄積できる」との考え。本保氏は「古い組織は体質を変えにくいが、観光庁は新しい組織であり、ここで得られる経験が良い組織を作る」とも言及。その上で、「報道では厳しさばかりが強調されるが、次の時代の発展をめざし、明るく力強く荒波を航海していこう」と呼びかけた。

 2008年10月の観光庁設立以来の取り組みについての説明では、「まずまず」の進み具合と評価。長官就任以来強調してきた「開かれた観光庁」の実現に向けては、新しい職場意識と文化の醸成にむけて10月末に「観光庁ビジョン」を策定。11月と12月の職場環境を「観光庁ビジョン」から評価すると、「改善が必要なところもあるが、おおむね良好」な進捗状況という。観光立国推進基本計画の5つの目標達成に向けたアクションプランも、1月13日に開催を予定するアドバイザリーボードの第1回会合の結果をふまえて、1月末には発表できる見込みと説明した。


▽「21世紀型の旅行業」への変革訴え

 トラベル懇話会会長の糟谷愼作氏は冒頭の挨拶で、「旅行会社は21世紀型の旅行業をめざすべき」と変革を呼びかけた。旅行商品を大量に仕入れて安く販売することに価値を見出しつづける傾向に警鐘をならしたもの。糟谷氏は、「21世紀が観光産業の時代と言われて8年になるが、旅行会社は旧態依然の20世紀の仕事を続けている」と指摘。観光産業がリーディング産業になるためには、「心を癒すという旅本来の趣旨から外れた商売」を止め、「(本来の趣旨に沿った)消費者目線の商品」づくりが不可欠と訴えた。