日本航空、燃油・景気で年間チャーター便本数は減−就航地より顧客層拡大へ

  • 2008年10月29日
 日本航空(JL)は2008年度(2008年4月〜2009年3月)のチャーター便の運航本数は800本程度になる見通しだ。前年度の約960本と比べ減少するものの、チャーター便の展開で新しい動きに取り組みつつある転換点にあるようだ。JL国際旅客部チャーター便担当の望月浩嗣氏によると、減少の理由として整備など機材繰りを含めた生産性の観点、旅行会社が燃油サーチャージの高騰によるチャーター便契約の手控え、また現在の円高の状況でも経済動向の不透明さによる手控えが影響しているという。

 ただし、望月氏は消費者の需要は「低迷」というよりも堅調との見方だ。ただし、チャーター便を利用する商品は、旅行会社が買い取りをするため、「ハイリスク/ハイリターン」となる傾向が強く、現在の不安定な状況がこうした契約を控える動きになっているよう。ただし、円高の進行により、来夏のヨーロッパ方面の商談の問い合わせが入るなど、すべてがマイナスに働いているわけではないことも強調している。また、今年度のチャーター便の方面としては東欧や中欧、北欧を中心としたJLが定期便を運航していないヨーロッパ、2003年からデスティネーション開発の一環として取り組むアラスカ、1993年から取り組むパラオが中心となっている。

 このうち、パラオは数年にわたり、日本人の訪問者数、JLの旅客数が伸びている。だが、単なる増加ではなく、ダイバー層やヒーリングを中心とする若年層の訪問者の属性に偏らず、新たな旅行者層の開拓として60代から70代のシニア層の集客をめざし、価格競争に陥らないデスティネーションの成長もめざす。すでに、今年度に試行的にこうした客層の集客をめざし、阪急交通社が商品を造成し、シニア層がダイバーなどの少ない時期に訪問し、シーカヤックやシュノーケリングを楽しむツアーを提供したいという。こうした意図から、今後はチャーター便を成功に導くポイントとして、航空会社と旅行会社の利益のほか、現地の宿泊施設やサービス提供会社が潤い、かつ旅行者も満足してもらえることをめざし、収益の維持と共に顧客数や客層を純増する市場の拡大につなげたいという。